背筋がゾゾッとする彫刻。「小谷元彦展:幽体の知覚」展

2011年 1月 5日 21:00 Category : Art

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 同じポーズの少女が5枚並んでおり、手は真っ赤に染まっている。血のようにも見えるが、どうやらラズベリーの果実を手でつぶしてしまったようだ。13、14歳くらいだろうか、まだ大人になりきれない少女は、目を開けたりつむったり、アンニュイで空ろな表情を浮かべる。

「ファントム・リム」1997年 Cプリント 148x111cm(各、5点組)高橋コレクション、東京

「ファントム・リム」1997年 Cプリント 148x111cm(各、5点組)高橋コレクション、東京 撮影:木奥恵三 写真提供:森美術館

 手の「赤」は、キリストの磔刑のようにも見えるし、子ども時代を終える初潮のメタファーにも見える。スカートの中身が見えそうで見えない膝の角度からも髪の毛1本1本からも緊張が感じられ、何か見えないものに縛られている、ゆえにそんな表情を浮かべるのかとも思える。それが痛々しい感覚となって見る者を刺激する。

「ファントム・リム」1997年 Cプリント 148x111cm 高橋コレクション、東京

「ファントム・リム」1997年 Cプリント 148x111cm 高橋コレクション、東京 撮影:国守正和 Photo courtesy: YAMAMOTO GENDAI, Tokyo

 小谷氏は、この作品からもわかるように、初期の頃から従来の彫刻への概念をリセットするような作品を発表してきた。写真という媒体もそうだが、写真に写された少女の透明感、軽やかさは実体、重力からの解放にも思える。

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