背筋がゾゾッとする彫刻。「小谷元彦展:幽体の知覚」展

2011年 1月 5日 21:00 Category : Art

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 小谷氏は彫刻という概念の脱構築を意識していると書いたが、この作品もまさにそうだ。動物の毛皮という「死体」を素材に用いドレスを作った。

「Human Lesson (Dress 01)」1996年、狼の毛皮、ほか 所蔵:高橋コレクション

「Human Lesson (Dress 01)」1996年、狼の毛皮、ほか 所蔵:高橋コレクション

 「木彫で扱う木材はそもそも“木の死体”であり、動物の死体である剥製はそれと同様のこと」と小谷氏は語っている。また、狼少女の話がテーマの根底にあるという。双頭の狼は、お互いが前進するとその体は千切れてしまう。そう考えると、人間の少女を育てた狼の表情は、いずれ訪れる別れを予期し、悲しみの遠吠えをしているように見えてくる。

 かわいらしい鹿の剥製だが、その四肢には拘束具のようなものが着けられている。エレクトロというタイトルからすると、鹿はサイボーグ化されてしまったのか。

「エレクトロ(バンビ)」2003年、鹿の剥製、アルミニウム鋳造、ほか 61x60x29cm 所蔵:肇子フェリエ氏

「エレクトロ(バンビ)」2003年、鹿の剥製、アルミニウム鋳造、ほか 61x60x29cm 所蔵:肇子フェリエ氏

 小谷氏の作品では、一貫して「痛覚を表象する」と言われているが、鹿が無表情なだけに「走ったら器具が筋肉にめりこむのだろうか」とか「成長を止めるためにつけられているのか」といったように見る方が感情移入してしまい、痛々しさが倍増する。

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