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今週末見るべき映画「GONZO」

2011年 2月 18日 21:00 Category : Art

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 映画は、トンプソンを敬愛するジョニー・デップがナレーションを務める。トンプソン自身の、まさにゴンゾーと呼ばれるにふさわしいコメントが出てくる。「ならず者? 俺にぴったりだ」「ジミー・カーターよりたくさんサインしたこともある」「悪は親戚」「俺はドラッグから合成された」。

 さらに、トンプソンの二人の妻と息子、ジョージ・マクバガンやジミー・カーターなどの政治家、ティモシー・クラウスやトム・ウルフといった作家・ジャーナリストなど、トンプソンに縁のあった人物のインタビューが編集される。また、当時の写真や録音テープ、ビデオ映像などが、巧みに構成され、ジャーナリスト、トンプソンの全貌に迫ろうとする。

 「ジャーナリズムとは何か?」は、いつも論じられる命題だろう。そもそも、広告収入で成り立つジャーナリズムを真のジャーナリズムと言えるかどうか、今更ながら考えてみるいい機会である。ネットやテレビ映像、紙媒体に溢れんばかりのコマーシャル・メッセージ。恐らく、いまの日本では、真の意味でのジャーナリズムは存在しないのだろう。本作を見て、真っ先にそう思った。

 酒、ドラッグが付きまとったトンプソンの人生は、さぞかし波瀾万丈だったと思われる。空軍入隊時代には、基地内の不正を暴く。バイクの暴走族には、密着取材。ニクソンが再選された時の大統領選では、対立候補のマクガバンを支持し、反ニクソンの論陣を展開する。また、後の大統領ジミー・カーターを取材、支持する。トンプソンの筆の影響力は、かなりのものだった。

 いろんな人物が、トンプソンについて語る。元大統領のジミー・カーターは「その表現方法はユニークで過激だった」と。「ハンターはペンで戦っていた。何かを変えたくて」「自然児」「アウトロー」「聡明で知的」「完璧」「トラブルメーカー」そして「ゴンゾー」「ゴンゾー」「ゴンゾー」と。

 毀誉褒貶に彩られたトンプソンの人生からは、多くのことやものが、見えてくるはずである。ジミー・カーターは、トンプソンを追悼した「ローリングストーン」誌の特集号に、心に残る一文を寄せている。「トンプソンは、常に予測できない、楽しくて忘れられない友人だった」。

 夜郎自大なジャーナリスト、ニュース・キャスターの目立つ日本、この「GONZO」を見ることをお勧めする。トンプソンは、敬愛したヘミングウェイに倣ったのか、銃で自殺する。遺書のタイトルは「フットボールのシーズンは終わった」。トンプソンの人生は終わったが、トンプソンの残したものは、いまなお生き続けている。

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