思考をずらす笑いの視点、福田繁雄大回顧展

2011年 10月 21日 00:00 Category : Art

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 シニカルなテーマを、グラフィカルなフォルムとユーモアを交えて表現する、グラフィックデザイナーの福田繁雄氏(1932-2009)。60年代から没する直前の2009年までの作品が、川崎市市民ミュージアムで一挙公開されている。平面から立体、立体から平面、福田氏が人生をかけて取り組んできた視覚実験の数々が、またウィットに富んだ氏の思考を一望できるまたとない機会なので、デザインやものづくりに携わる方にはぜひご覧いただきたい展覧会である。

 展示は年代ごとに大きく4つのエリアで構成されている。まずは、60年代のポスターデザイン。福田氏は東京藝術大学を卒業後、1956年より味の素の広告部で2年間グラフィックデザインに携わり、その後河野鷹思率いるデスカで1年働き、59年よりフリーランスとなる。

 50年代にデザインされた松屋関連のポスターである。年代から見ると、学生時代の作品ということになるのだろうか。福田デザイン黎明期(でもあるし、日本全体がデザイン黎明期であった時代と言えるだろう)の作品と言えるかもしれない。

 度々氏は、子どもの頃からの夢で「漫画家になりたかった」と語っており、大学在学中にも絵本を発表したり、日本童画会展に出品したり、漫画や童画、絵本の世界に高い関心があった。

 これらのスケッチなどを見ても、シンプルな線で構成された一枚の絵ではなく、ドローイングとグラフィックを組み合わせ、さらにそぎ落とした構成だということがわかる。自身も語っているが、この当時の作品では、早川良雄氏のモダンなコラージュや河野鷹思氏のグラフィックなどの影響が見られる。

 次が、1970年。これらはEXPO'70 日本万国博覧会のポスターである。福田氏は、本展のコンペに入選してオフィシャル・ポスターを担当した。

 公式採用されたものは、左から二番目の下にある、5つの円球が寄り添って下に影を移し出しているもの。もうひとつは下段一番左の、EXPO'70という文字を木片で立体的に高さを変え、撮影されたもの。にょきにょきと伸びてくるような迫力のあるポスターである。ちなみに右下の写真で構成されたものは永井一正氏がデザインしたものである。会場では、ポスターの下のガラスケースに氏のスケッチが展示されている。

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