大森克己の個展「すべては初めて起こる」、29日まで

2012年 1月 25日 12:00 Category : Art

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 写真家・大森克己氏の個展「すべては初めて起こる」が東京・銀座のポーラ ミュージアム アネックスと、浅草にあるギングリッチ、マッチアンドカンパニーの書庫の3会場で開催中だ。

 メイン会場となるポーラ ミュージアム アネックスに展示されている作品は、これまでも「Cherryblossoms」や「encounter」などの作品で大森氏が撮り続けてきた桜が被写体となった新作だ。

大森克己氏

 2011年春、ピンクのふたつの球体がついた玩具を手に東京から福島にむかった写真家は、毎年欠かすことなく春の訪れとともにつぼみをほころばせる桜をフィルムにおさめた。どの作品にも桜の前景には、光に反射し、ときにハレーションを起こしたピンクの球体がぼんやりと写り込む。それが桜をメインの被写体としながらも、この光こそが主役であるというように、作品に言語化しえない意味づけをしている。

 一枚の写真の中の桜と球体の関係は、自然と人工物の関係にも似ている。普段われわれが自然と呼んでいるもののほとんどは、人間により整えられた人工的な自然である。桜といって真っ先に思い浮かぶソメイヨシノは、人間が観賞用に生み出した人工的な品種。桜は一部の野生品種をのぞき、そのほとんどが人間の生活環境に近いところに植生しているのはそのせいである。桜はときに人の人生にもたとえられるが、大森氏の写真にあっては、一瞬を写し取る写真のメタファーにもなっているようにみえる。

 タイトルに選ばれた「すべては初めて起こる」は、アルゼンチンの作家ホルヘ・ルイス・ボルヘスの詩のなかの言葉。ボルヘスはまたこれとは真逆の、すべての言葉はバベルの図書館に書かれているという、歴史は繰り返すという意味の言葉も残している。この二つの言葉は展覧会を象徴する言葉といえるだろう。

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