写真家エリオット・アーウィットが見つめたパリ

2012年 1月 30日 14:31 Category : Art

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 エリオット・アーウィットは、日常の暮らしのなかの人々のいきいきとした姿や、変わりゆく都市の風景を、ウィットに満ちた温かい眼差しと、ジャーナリスティックな鋭い視点で撮影した作品で世界的な名声を誇る写真家だ。2月3日から「PARIS SERA TOUJOURS PARIS!」が東京・銀座のシャネル・ネクサス・ホールで開催される。

 1928年にフランス・パリに、ロシア人の両親のもと生まれたアーウィットは、1949年に移住先であるアメリカ・ニューヨークで写真家としての活動を本格的にスタート。1953年、報道写真家として有名なロバート・キャパの推薦で、世界的な写真家集団「マグナム・フォト」に参画。以来、ドキュメンタリー、コマーシャル、ファッションなど、幅広い分野で活躍している。

 これまでに数多くの作品と、それらをまとめた写真集を世界各国で発表。主にレンジファインダーカメラのライカを使って撮影されたスナップショットといわれるストリート写真は、小型カメラがもつ機動力をいかし、一瞬の出来ごとをありのままに捉えた「決定的瞬間」を記録したものとして評価が高い。

 今回展示される作品の被写体に選ばれたのは、アーウィットがたびたび訪れ撮影している、華の都といわれ、いまも世界中の人々を魅力し続ける街パリ。誰もが一生に一度は訪れたいと夢にみるこの街の姿をアーウィットは、自らが生まれ育った街への優しく愛情ある眼ざしと、通りすがりの異邦人のような好奇心たっぷりの目で、独特のツヤのあるモノクロ写真に記録している。

(c) Elliott Erwitt / Magnum Photos

 アーウィットは、この街で暮らす人々の日常の姿や、どこか懐かしさを感じさせるパリの街角の風景といった、一見どこにでもありそうな当たり前な景色のなかにひそむ輝きを、一瞬を切りとる写真という装置によってつむぎだす。そしてそれを見る者にあたかも自分がかつて見た風景、そんな記憶のなかのワンシーンと錯覚させるほどのリアリティをもって描きだす達人だ。

 本展では、そんなパリで撮影された作品をまとめ、一昨年発表された最新写真集「Elliott Erwitt's Paris」(teNeues、2010)に収められたもののなかからセレクトし紹介する。 この作品集は現在ニューヨークに拠点を置く出版社teNeues社が刊行する、アーウィットがひとつ都市を撮影した写真で構成されたシリーズ作品のニューヨーク、ローマに継ぐ第三作目にあたるもの。ドラマチックでありながら、ジャーナリスティックな目線で、都市化により失われゆく街角の風景を記録した写真群としても貴重だ。

 パリの人々の生活の風景、通りすがりの人たち、物言わず佇む彫刻、ユーモアたっぷりの動物、そして愛し合う恋人たちの姿。見なれた日常の風景を撮影しながら、どこにもない写真ならではの決定的な瞬間を逃すことなく丁寧にドキュメントするアーウィットの世界を是非、体験してほしい。

「PARIS SERA TOUJOURS PARIS!」
エリオット・アーウィットが見つめたパリ
2月3日(金)〜29日(水)
シャネル・ネクサス・ホール(シャネル銀座ビルディング 4F)
Open.12:00〜20:00、会期中無休、無料

取材/加藤孝司

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