人類の進化と衣服の歴史「杉本博司 ハダカから被服へ」展が開催中

2012年5月1日 10:30

 原美術館で現代美術家、「杉本博司 ハダカから被服へ」が開催中だ。都内の美術館では「杉本博司:時間の終わり」以来、七年振りの個展となる。写真だけでなく古美術の蒐集、近年では建築や舞台芸術などを手がけ、人間と時間を探究しつづける杉本博司氏。本展はそんな旺盛な活動を展開する杉本氏による、人類の進化と衣服の歴史を、モノクローム写真や自らの所蔵作品とともに静謐に視覚化した展覧会である。

 展覧会タイトル「ハダカから被服へ」が示すとおり、1974年エチオピアで化石人骨が発見され、最古の人類といわれる類人ルーシーが、ハダカで荒野を歩く作品から始まる本展。ファッションを彫刻として見たてた写真作品「スタイアライズド スカルプチャー」を中心に、ニューヨーク自然史博物館、マダムタッソー蝋人形館、カリフォルニアの蝋人形館で撮影された杉本氏の代表作の一部である「ジオラマ」および「肖像写真」より、衣服という観点から作品を選び、人類の壮大な歴史を感じさせる展示としている。合わせて杉本氏の古美術コレクション、狂言師野村萬斎氏のために手がけた能楽の衣裳まで、杉本流ファッションと人類の歴史が、まるで絵巻物のように各展示室に広がる壮大なエキシビションである。

 その中心となる作品「スタイアライズド スカルプチャー」は、通常のファッション写真では当たり前の人体ではなく、マネキンに衣服を着用させ撮影した写真作品。マネキンに衣服を着用させた理由は、長時間露光を用いる杉本氏の撮影手法によるところが大きいそうだが、動きや生身の人体が醸し出す温かみを排除し、静物であるマネキンが衣服を着ることで、具体的なものであるはずのファッションに抽象性が加わったようにみえ、それにより衣服のディテールがいっそう際立っているようにみえた。

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