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今週末見るべき映画「星の旅人たち」

2012年 6月 1日 07:00 Category : Art

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 人生の曲がり角、岐路は、誰にでも訪れる。現在の境遇から抜け出そうとしたり、抱える悩みを解消し、癒しを得ようとかする。とりあえず、現状から抜け出すために、ひたすら歩く。つまり、巡礼の道を選ぶ人もいる。日本人なら、たとえば、四国の八十八カ所を巡る。カトリックの信徒なら、パレスチナやローマのサン・ピエトロ広場、ルルドに出向いたり、サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼の道を歩く。このスペイン北部をほぼ横断する巡礼の道は、いまでは、カトリック信徒だけでなく、世界じゅうから、いろんな人が訪れる。

 映画「星の旅人たち」(アルバトロス・フィルム配給)は、アメリカ人で、サンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼の道を歩く男、トムが主人公である。40歳になる息子がいるほどの年齢だから、決して若くはない。一人息子のダニエルが、フランスからサンティアゴ・デ・コンポステーラへ出発したばかりで嵐に遭遇、命を落とす。妻とは疎遠になっているトムは、単身、フランスのサン・ジャン・ピエ・ド・ポーに旅立つ。かつて俳人の黛まどかは、「一歩一歩の積み重ね」(別冊暮しの手帖「さんぽの手帖」収載)というエッセイで、サンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼の道のことを、こう書いている。

 「ざっと4つの区間に分けられるという。物理的にではなく精神的に、という意味である。はじめの区間で自分を振り返る。次いで自分を突き詰める。3番目が自分から離れる。最後が再生の区間である」。マーティン・シーンが演じる父親トムは、エミリオ・エステヴェスが演じる息子ダニエルの死を契機に、ダニエルが歩こうとした巡礼の道を目指す。そして、まさに、自らの人生を振り返り、突き詰め、自らに距離をとり、再生を果たそうとする。

 フランスの女流コリーヌ・セローの監督した映画「サン・ジャックへの道」と同じ結構である。「サン・ジャックへの道」では、3人の兄妹が、母親の遺産を相続するためには、フランスのル・ピュイから、サン・ジャン・ピエ・ド・ポーまでの約700kmを歩かなければならないという設定である。「なぜ21世紀に重い荷物を背負って歩かにゃならん」と嘯く兄と、弟、妹は、遺産目当てに、とにかく歩き始める。そして、なんとかサン・ジャン・ピエ・ド・ポーに到着、遺産を分け合うことにはなるのだが、3人は、さらにサンティアゴ・デ・コンポステーラに向かうという展開になる。

 本作では、息子ダニエルの遺灰を携え、トムは旅立つ。いろんな人物に出会う。過去の様々なことが脳裏をよぎる。いろんな巡礼者と出会い、別れ、再会し、やがて3人の道連れが出来る。それぞれが、心の奥に、巡礼の道を歩く意味を秘めている。トムはまず、オランダ人の肥った男性ヨストと知り合う。「ドラゴン・タトゥーの女」で、変態の公証人を力演したオランダの俳優、ヨリック・ヴァン・ヴァーへニンゲンが扮する。次いで、ヘビースモーカーのカナダ女性サラと知り合う。カナダのバンクーバー生まれの女優、デボラ・カーラ・アンガーが扮する。さらに、アイルランド人の売れない旅行ライターのジャックと知り合う。最近では「英雄の証明」に出演した、北アイルランド生まれのジェームズ・ネスビットが扮する。

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