今週末見るべき映画「メリエスの素晴らしき映画魔術」&「月世界旅行」

2012年 8月 24日 11:00 Category : Art

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 ジョルジュ・メリエスが映画「月世界旅行」を作ったのは1902年、今から110年も前である。時間にして15分余、今見ても、愉快で楽しく、幻想的。そうか、最初の頃の映画は、こうだったんだと、ただただ驚く。人間の顔をした月の目に、弾丸のようなロケットが当たっている。顔が歪み、涙を流している。映画好きなら、どこかでご覧になったことのある有名な映像が、この「月世界旅行」である。

 このほど、ドキュメント映画「メリエスの素晴らしき映画魔術」(エスパース・サロウ配給)が公開される。なんと、フィルムに色を付けた彩色版の「月世界旅行」との併映である。ドキュメントの方は、メリエスが映画を作り始めたころからの舞台裏に迫りつつ、メリエスはどのような人物であったかが描かれる。著名な映画監督や俳優トム・ハンクスが、メリエスについて、またメリエスの撮った多くの映画について証言する。そして、たまたま発見された「月世界旅行」の彩色版を、もとに近い形に復活、再生するまでの道のりが克明に描かれる。

 メリエスの作った多くの映画のほんの1シーンが、次々と出てくる。奇術のイリュージョンやら、ドタバタ喜劇のオリジナルとも言える寸劇やら、見ていて、心ウキウキする。また、フィルムの一コマ一コマに色を付ける彩色版の映画も出てくる。1905年の「魔法の飛行船あるいは発明家の悪夢」や、1902年の「妖精たちの王国」などなど。

 メリエス作品は、スピード感たっぷりで、人物が消えたり現れたり、爆発シーンなどもあり、今で言う特殊効果がいろいろ使われている。当時としてはさぞかし、斬新だったろう。圧巻は、後半だ。たまたま発見された「月世界旅行」の色彩版は、フィルム自体が、カチカチに固まっている。ゆっくりと水蒸気を当てて、劣化したフィルムを、少しずつはがしていく。元のフィルムは、これ以上、加工が出来ないくらい劣化している。そこで、別の媒体に、一コマ一コマを、コピーしていく。欠損している部分もある。それをモノクロの別バージョンで補填して、色を揃え、長い時間をかけて、デジタル技術で再生していく。気の遠くなるようなプロセスを踏むくだりは、スリリングである。

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