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今週末見るべき映画「最強のふたり」

2012年 8月 31日 11:50 Category : Art

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 あちこちのシーンで大笑いし、いくつかのシーンで心震えた映画である。「最強のふたり」(ギャガ配給)は、昨年の東京国際映画祭でグランプリを受賞した。コンペティション作品は全部で15作品。予約した時間が遅れたため、すでに満席、15作品のすべてを見たわけではない。見たなかでは、この「最強のふたり」と、まだ日本では未公開の「ガザを飛ぶブタ」の2作が、群を抜いて面白かった。「最強のふたり」は、映画祭上映から1年近く経っての公開である。

 物語は実話に基づいている。パラグライダーの事故で、首からつま先までが全身麻痺となった富豪の男フィリップと、たまたま介護人に採用された黒人の青年ドリスとの、心と心が切り結ぶ。フィリップはインテリで教養豊か。ドリスは経済的には恵まれていないが、陽気で屈託がない。いくぶん粗野な振る舞いだが、フィリップは、本音でつき合うドリスに好感を覚える。その出自、住んでいた世界があまりにも異なっている。縁を結ぶようなふたりではない。当然、ドリスとフィリップの周辺には、数々の摩擦が生じる。フィリップは、介護を受ける身ではあるが、いわばお仕着せの介護に、もはや絶望している。そこに、介護のかの字も知らないドリスが参入してくる。ふたりの「文化」や「知識」、「経験」といったものは、ことごとくズレている。この各種のズレが、ドラマをスピーディに牽引していく。

 フィリップは、介護人のドリスを「あなた」と呼び、ドリスは、雇う側のフィリップを、まるで友人に話すように、「おまえ」と呼ぶ。ふたりの相違は、音楽の好みに端的に表れている。フィリップは、ヴィヴァルディやバッハなどのクラシックや、オペラである。ドリスは、アース・ウインド&ファイヤーや、クール&ザ・ギャングである。フィリップの誕生日を祝うコンサートのシーンがある。フィリップは、楽団にヴィヴァルディの「四季」から「夏」をリクエストする。ドリスは、踊れない音楽に興味はないと、言い放つ。バッハの曲を聞いても、「まるで裸で笑いながら走っている人々だ」と、正直に感想を述べる。ドリスにとっては、バッハの無伴奏チェロ組曲は、コーヒーのCM曲であり、リムスキー・コルサコフの「熊蜂の飛行」は、「トムとジェリー」、ヴィヴァルディの「四季」の「春」は、「こちらは職業安定所です。順番にお繋ぎします」という職安の電話のBGMなのである。ドリスは、俺の音楽はこれだとばかり、アース・ウィンド&ファイアーの「ブギー・ワンダーランド
」を流して、踊り出す。


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