物たちを見るというまなざしと体験。『物物』展

2012年 9月 12日 15:00 Category : Art

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 猪熊弦一郎は画家であると同時に有数の「物」好き、コレクターであったことも知られている。その著書に自身の膨大なコレクションを写真とテキストでまとめた『画家のおもちゃ箱』(1984年)がある。こちらはどちらかというと物と物同士の関係性にも焦点があたっていたように思うが、今回の『物物』では、一点一点の物にフォーカスがあたっているところにその違いと特徴がある。美術館の光のもとに、「物撮り」の手法で撮影されたホンマさんの写真と、そこに添えられた岡尾さんとホンマさんの、対話形式の短いテキスト。その写真は、物の全体を撮影したものから、部分を撮影したものまで、さまざまだ。

 そしてその写真は、その物の背景に光があたっているというよりも、その物のあり方のほうに焦点があたっているようにみえる。それはそこに添えられた岡尾さんとホンマさんの短いテキストも同様で、物が放つ存在感に対し直感的に言葉が選ばれている。それは、猪熊弦一郎がその物と出会い、それを選んだときの気分に近い感覚的なものが、二人の言葉にのりうつったようでもある。

 今回の書籍と展示に選ばれたオブジェクトには、猪熊弦一郎の絵の重要なモチーフとなった、鳥などの動物もいくつかみることができる。猪熊弦一郎の絵のなかに描かれた動物たちは、具象的に描かれながら少しだけアウトラインが引き伸ばされたり、ゆがんだりとどこかしら愛嬌がありユーモアがある。猪熊弦一郎の作品には、「guén」と走り書きのようなサインを見ることができるが、その文字も猪熊弦一郎が生き生きと描いた動物のようにみえなくもない。

 そして雑誌や書籍で見ることができる岡尾美代子さんのインテリアやファッションのスタイリングにも、しばしば動物モチーフのアイテムを見ることができる。岡尾さんのスタイリングのファンの一人としては、猪熊弦一郎と、岡尾美代子さんの共通点を展示のなかに探すのも、楽しい展示の見方だと思う。


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