「世界は大きな彫刻である」エスパス ルイ・ヴィトン東京でエルネスト・ネト展が開催中

2012年 10月 12日 00:00 Category : Art

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 作品のサーフェイスで内と外との関係をつくるときに、ネットや紙、薄いオーガンジーのような布など、透過性のある素材を用いることで、その関係に意識的に問いを投げかけることも、ネトの作品において顕著なことだ。今回の作品もメッシュ状に編みこまれた紐と、その中に緩急材として仕込まれたプラスチックボールとの関係においてもそのコンセプトは踏襲されている。そして、これらの紐が、ネトのブラジルはリオ・デ・ジャネイロにあるスタジオの近くにある、紐工場でつくられていることにも注目したい。ショッピングバッグの把っ手などに使われる紐などを製作する工場でつくられる、これらの紐は、作品の素材として編み上げる際にネト自身によって慎重に色が選択される。

 それを一本の紐に編んだ上で、手芸のかぎ針編みの要領でネット状に編みあげ、それを複数連結している。作品となったネットの複雑な編み目を実際に見ればわかるのだが、これら巨大な作品はネトによるアート作品であると同時に、リオ・デ・ジャネイロの紐職人たちと、それを忍耐強く編み上げる人たちとが力を合わせてつくるアートプロジェクトの様相をもっている。編み目やネットの連結箇所、あるいは連続する構造が連想させる通り、一連の作品は隣り合うもの同士や人同士の相互の関係性の上に成り立っている。そのことをネトは次のような言葉で表現していたのが印象的だった。

「その関係性が新しい彫刻のモデルである。ここにあるすべては関係性を表している。作品はとまっているようにみえるが、そこに人が関わることで動き始める。またこれらの作品は、あるのではなく、いる、ものである」

 ネトの作品がもつミニマルな様相をもちながら、物同士の相互の繋がりによって成り立つ作品はまた、この宇宙を構成する、あらゆる関係性をあらわしている。

 宙に浮かんだ架空の生き物を思わせる、作品のその存在とは裏腹に、海底に生息するイソギンチャクやくらげ、ナマコのたぐいの軟体動物の身体との類似は、生き物の身体の構造を探求的に扱うネトの作品において顕著な様相であるように思う。螺旋状のかぎ針編みでつくられた作品はまた、人間を含む生き物が、無数の細胞から成る存在であることの象徴であり、かぎ針で編まれた紐とプラスチックボールでつくられたチューブの内側は、生き物の体内そのものである。


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