東京フィルメックス「木下惠介生誕100年祭」銀座メゾンエルメスでの無料上映も

2012年 11月 5日 15:00 Category : Art

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 今年の12月は、日本の映画界を代表する監督のひとり、木下惠介の生誕100年になる。第13回東京フィルメックスの11月23日(金)から12月2日(日)までの会期中の特集上映は、「木下惠介生誕100年祭」と題して、全49作品のうち、英語字幕付きの19作品が上映される。

 また、この19作品の中からの9作品に加えて、英語字幕なしの5本(「破れ太鼓」、「女の園」、「遠い雲」、「太陽とバラ」、「喜びも悲しみも幾歳月」が、会期後の12月3日(月)から7日(金)まで上映され、木下監督の全作品のほぼ半分になる24作品が一挙に鑑賞できることになる。どれも日本映画の歴史に残る傑作佳作揃い。改めて木下作品の面白さや奥の深さを堪能できるはず。また、初めてご覧になる方には、かつての日本映画の輝きに、きっと驚かれることと思う。場所はいずれも、東劇。

 思えば、「二十四の瞳」や「喜びも悲しみも幾歳月」と出会ったのは、もう50年以上も前だ。1951年公開の日本映画初のカラー映画「カルメン故郷に帰る」は、公開後、かなり後になってから見た。また、「楢山節考」、「笛吹川」、「香華」なども、日本映画の歴史に残る傑作だ。木下監督は、コメディから、シリアスなドラマ、泣かせる映画など、幅広く、奥深く、人間と社会、時代を描いた巨匠である。近年、外国からも高い評価を受けつつあるのも、当然のことだろう。

「カルメン故郷に帰る」© 1951/2012 松竹

 有名な話がある。1954年、「二十四の瞳」が公開された年、キネマ旬報のベストワンが「二十四の瞳」で、第2位も木下監督の「女の園」、第3位が黒澤明の「七人の侍」だった。海外はともかく、当時の国内での木下監督の評価がどれくらいのものだったが、よく分かる。戦時中は、短い期間だが徴兵されて、従軍、中国での戦争の現場に立ち会っている。もちろん、この時の体験が、戦中戦後の木下作品に反映されている。今回上映される19作品を年代順にざっと紹介しよう。

■戦中
 戦中に撮ったのが「歓呼の町」と「陸軍」の2本。いずれも、いわゆる国策映画だが、戦時体制に迎合しなかった監督の反骨精神が光る。疎開を巡って、夫を待ち続ける母子を描いた「歓呼の町」。「陸軍」は、朝日新聞に連載された火野葦平の大河小説の映画化である。幕末から日清・日露の戦争、満州事変のころまでの60年あまり、家族三代にわたる姿を描く。ラスト近くの有名なシーン、出征する息子をいつまでも追い続ける母親を演じたのが田中絹代だ。

「歓呼の町」© 1944 松竹

■40年代後半
 戦後の40年代の作品が3本。「女」は、箱根や熱海でのロケを敢行、踊り子の女(水戸光子)を執拗に追うヤクザ(小沢栄太郎)の話。「肖像」は、黒澤明の脚本で、木下監督との唯一のコンビ作。貧乏な画家一家に立ち退きを迫る不動産屋が、画家一家の姿に接して、人生観が変わっていく。コメディの傑作「お嬢さん乾杯」は、49年作。車の販売で成金になった男が、気の進まない中、元華族の令嬢と見合いをするが・・。佐野周二、佐田啓二を相手にする原節子が美しい。

「女」© 1948 松竹

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