現代骨董 直球勝負。「古道具その行き先 −坂田和實の40年−」

2012年 11月 7日 12:00 Category : Art

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 そんななか、ひときわ目を引いた異色の展示品が「おじいちゃんの封筒」として知られる封筒だ。一点一点異なる色や素材の紙でつくられていることから、手づくりされたものであることは想像できるが、タイトルや説明を見ない限り、一人の人がつくったものかどうかまではわからない。実はこの封筒は、元大工の棟梁であった老人がつくったもので、同名の展覧会と書籍にまとめられているので、有名なものなのだが、当初僕はこれにあまり深い感慨は抱かなかった。だが、今回久しぶりにこれらの封筒に再会し目にすると、少なからず心が揺さぶられた。包装紙や厚紙、ギンガムチェック柄の紙など、身近にあったと思われる紙をつかって、ほぼ同じ仕様とサイズでつくられたこれら封筒には、一人の人間の祈りにも似た無為の行いと、その人の生きてきた証が、軽やかに、だがまざまざと記録されている。その手仕事のなかに、柳や坂田氏が見立ててきた、李朝の名品や、古伊万里の白い日用の器と同様に、作為のない一職人の手仕事の精神がみなぎっているのを僕は感じた。

日本 おじいちゃんの封筒 昭和

日本 質屋包み紙 江戸末-明治

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