現代骨董 直球勝負。「古道具その行き先 −坂田和實の40年−」

2012年 11月 7日 12:00 Category : Art

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 渋谷区立松濤美術館で坂田氏の選んだ骨董や古道具の展示をするのは、2006年に行われた「骨董誕生展」での『骨董最前線』と題されたコーナー展示以来二度目とのこと。従来とは異なる、新しいタイプの古道具店をいとなむ坂田氏の蒐集品が並べられたというその展示では、それまで骨董とよばれていたものとは少し異なる視点で選ばれた物たちが展示されたというが、それをみた人のすべての評価が肯定的というわけではなかったようだ。自身の物にむけた個人的な価値観に基づいたまなざしを、坂田氏は「ひとりよがりのものさし」というように、物の価値観は時代とともに日々変化し、それをみるまなざしも変化する。

日本 水中メカネ 昭和  撮影:ホンマタカシ

 坂田氏の物の見立てが現代の美の新機軸であるとか、そもそも見立てとして正しいとか、どうとかいうつもりはないし、僕にそれをいえるハズもない。本展は現代骨董の最前線の展覧会であると同時に、タイトルにあるように古道具屋店主 坂田和實氏の個展でもある。ただ、少なくとも僕は今回の展示をみて、人間が創り出すものの崇高さの片鱗をまざまざと感じた。
人々のライフスタイルや生活とともに、骨董における見立てのあり方も、その歴史を踏まえたうえで自由に変化してもよいのではないか。これらの物たちは、骨董や古美術という既成のジャンルではなく、まさに古道具 坂田というジャンルのなかで、坂田氏にみそめられた、新しい時代の骨董にほかならないのだから。



坂田和實(さかた かずみ)
1945年福岡県生れ。上智大学卒業後、商社勤務を経て、1973年、東京目白に「古道具 坂田」をオープン。ヨーロッパ、アフリカ、アジア、南米など、さまざまな国の品物を扱う。1994年 千葉県長生郡長南町に美術館「as it is」を開館。

古道具その行き先 −坂田和實の40年−
開催中〜2012年11月25日(日)
渋谷区立松濤美術館
東京都渋谷区松濤2-14-14
お問い合わせ先:03-3465-9421
(会場写真は全て美術館の許可を得て筆者撮影)

取材/加藤孝司

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