今週末見るべき映画「砂漠でサーモン・フィッシング」

2012年 12月 7日 08:00 Category : Art

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 イエメンの大富豪の注文は、砂漠の国で、鮭を釣りたい。大富豪の資産を管理するイギリスの投資コンサルタント会社の腕利き女性が、イギリス政府を巻き込んで、水産学者の協力を取り付ける。政府は、中東政策への批判を懐柔するべく、大プロジェクトを遂行しようとする。イギリスの釣り人口は200万人。首相サイドは、票になると踏んでの見切り発車。水産学者と腕利き女性は、それぞれパートナーがいるが、次第に牽かれあっていく。そもそも、砂漠で鮭などが釣れるのだろうか。さて・・。

 映画「砂漠でサーモン・フィッシング」(ギャガ配給)は、ありえないような話なのに、さもありうるかのように思わせて、ウエルメイド。まるで、おとぎ話だが、政治への風刺、男女のロマンスをからませて、ほのぼのとした展開を見せる。イギリスの狡猾な中東政策への批判を盛り込みながら、イギリス流のブラックがかったユーモアに満ちて、笑い転げるほどのセリフのやりとり。まさに、至福の映画の時間が流れる。

 舞台はイエメンである。アラビア半島の南に位置する国で、もとはイギリスの植民地だ。かつて、ポール・ニザンはイエメンに2年ほど滞在、フランスに帰国後の1931年に刊行した「アデン・アラビア」の有名な冒頭、「ぼくは二十歳だった。それがひとの一生でいちばん美しい年齢だなどとだれにも言わせまい」(晶文社・篠田浩一郎訳)といったことくらいしか、イエメンについては知らない。ありえないような話なのに、さもありえるように語る面白さを映画は持っている。小説や芝居などもそうだが、ことに映画では、色があり、映像が動き、音楽があり、各種の効果が駆使され、ありえないような話が、現実により近いのもとなる。映画だからこその夢、映画でしか描けない夢だろう。

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