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イメージを喚起する写真の力、北井一夫「いつか見た風景」

2013年 1月 11日 11:30 Category : Art

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 ’60年代から活動し日本を代表する写真家の一人、北井一夫の美術館では初の個展となる「いつか見た風景」が、東京都写真美術館で開催中だ。戦後急激な経済発展のなかで変貌を遂げていく都市ではなく、昔ながら暮らしをいとなむ農村の人びとや、都市の発展を支える港湾労働者など、徹底して都市の周縁を撮影してきた北井一夫。学生時代に発表した最初期の作品から、写真誌に連載中の最新作まで、本展では、50年近くにわたり活動を展開する北井一夫の作品を、時代をたどりテーマごとに展示する回顧展である。北井氏自身にとっても、これまでの仕事を振り返る意味合いをもった展覧会になっているという。

村へ <雪の中で>(1) 1974年

 本展は東京都写真美術館の重点収集作家でもある北井氏のコレクションをもとに、3年かがりで計画された。日本を舞台に撮影された作品を中心に205点のモノクローム作品を展示。写真を近くでみてもらいたいという意図から、ほとんどの作品が四つ切り、もしくは半切の大きさでプリントされ額に収められている。写真展としてはオーソドックスな展示方法が特徴的だ。

 展覧会は「父の帯」(2010年)と名付けられた作品からスタートする。被写体となった帯は、終戦間もないころ、両親が戦時中入植していた北井氏の生まれ故郷でもある満州からの引き揚げの際に、一歳に満たない北井氏がくるまれていた帯だという。その帯にくるまれ父の背中で、混乱による険しい旅路を日本へ帰国した。逆光のなか撮影された作品は、その事実をのぞいてもなお、純粋に写真としてとても美しい。平和と、戦争、その意味が問われている今だからこそ、とても意義深い作品だと思う。北井氏が先の戦争を生きのびた原点と向き合った作品といえるだろう。


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