「恵比寿映像祭」の今年のテーマは「Public⇄Diary」。 さまざまな角度から記録と記憶を検討する。

2013年 2月 20日 12:00 Category : Art

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 この時期の恵比寿一帯の恒例行事となった、恵比寿映像祭、略してエビゾー。東京都写真美術館を中心にさまざまなギャラリーや書店等でテーマに則した展覧会が開催されており、さまざまなアーティストの視点から、未来の映像の力を探る試みがなされている。

 今年のテーマは「Public⇄Diary」。「日記」である。日記というと少々古めかしいように感じるかもしれないが、そんなことはない。鍵をかけた日記帳に毎日書いているような人は少なくなったかもしれないが、私たちの多くは、日々ツイッターでなんでもないことをつぶやいたり、フェイスブックに写真をアップしたりしている。記録媒体(主に携帯電話だろう)の進化、効率化により、記録できる機会は以前よりもむしろ増えたのではないだろうか。

恵比寿映像祭ディレクターの岡村恵子は、本テーマについてこのように記している。

「旧来、日記は私的な空間で主観的に記すもの、とされてきたが、メディア技術や情報システムの変換によって、私的な空間がさまざまな形で侵食され、管理されてしまう現代にあって、「私」を問うことは、裏返しに見えてくる「公」もまた、新たに問うことにほかならない。映像の力を借りることによって、「私」が「歴史」になり、「公」が「日記」として読まれるような、ゆらぎにも似た領域にこそ、光を当ててみたいと思う。」(恵比寿映像祭公式ブックレットより)

 本展では、新旧さまざまな時代の「日記」にまつわる作品を取り上げ、時間と記憶について考えさせてくれる。展示の見どころをいくつか作品を紹介しよう。

『写真週報』内閣情報部(のちに情報局)編、1938-1945年

『写真週報』は、1938年に創刊され、敗戦直後の1945年まで続いた国策グラフ誌である。1冊10銭という格安の定価で各号20~40万部発行され、さらに回覧してよまれていたという一大メディアである。そこには多くの写真家が参加していたことに加え、公募で投稿写真も掲載されていたのだという。もちろん掲載する写真は厳しく選定され、報道はコントロールされていただろう。だが、さまざまな「目」でとらえられた写真は、その画角だけにはおさまらない情報、複数の写真から立ち上ってくる時代の空気を私たちに教えてくれる。

「『公』と『私』の隔たりやゆらぎを、読み手の側のリテラシーで埋めることができるとしたら、こういった資料を読む可能性が広がるのではないかと思います」岡村恵子(同ブックレットより)

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