今週末見るべき映画「愛、アムール」

2013年 3月 8日 08:00 Category : Art

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 老人が老人を介護する。人が長生きする時代、どの国でも起こりうる状況だろう。今年の第85回アカデミー賞で、外国語映画賞を受賞したフランス、ドイツ、オーストリア合作の「愛、アムール」(ロングライド配給)は、80歳を超え、人生の終末を迎えようとする老夫婦の日々を、妻を介護する夫を通して、淡々と綴っていく。「ファニーゲーム」、「隠された記憶」、「白いリボン」などなど、観客に媚びず、挑戦的な作風の映画を撮り続けているオーストリアのミヒャエル・ハネケの脚本、監督である。

 おそらくは、「社会」や「世界」を描くために、悪意や暴力を潜ませ、寓意に満ちた映像を提出し続けているハネケは、すでに70歳。自らの老いを意識せざるを得ない年齢だろうか、本作では、老いた夫が老いた妻を介護する。お互い、慈愛に満ちた老夫婦である。好むと好まざるに関わらず、肉体的にも精神的にも衰えが忍び寄る。何か事あれば、老いた身は、いったいどうすればいいのか。そして、どうなるのか。

 映画は、見ていて辛い。目をそむけたくなるシーンも、なくはない。しかし、今という時代の、ある社会の、世界の姿なのだろう。この老夫婦を、フランスの名優が見事に演じ、まさに鬼気迫る。演技の凄さを云々する以前の迫力に満ちている。妻のアンヌ役は、もう、50数年前に、アラン・レネが監督、マルグリット・デュラスの原作、脚本による「ヒロシマ・モナムール」(邦題「二十四時間の情事」)に主演したエマニュエル・リヴァである。このほどのアカデミー賞の主演女優賞に、史上最年長でノミネートされた。介護する夫のジョルジュに、ジャン=ルイ・トランティニャンが扮する。やはり50数年ほど前、ロジェ・ヴァディム監督の「素直な悪女」で、ブリジット・バルドーの相手役を務め、その10年後、クロード・ルルーシュ監督の「男と女」に主演している。ふたりの壮絶な演技は、まず直接、映画で確かめてみるしかないだろう。

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