今週末見るべき映画 「ふたりのイームズ:建築家チャールズと画家レイ」

2013年 5月 9日 08:00 Category : Art

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【Story】
 ロサンゼルスのベニス・ビーチにあるイームズ・オフィス。勤めていたデザイナーたちが、オフィスについて語る。散らばった図面や写真、模型、試写室、木材の加工場、水槽、いろんな絵の書いてある椅子がある。「まるで、ディズニー・ランドみたい」と語る女性デザイナー。多くの優秀なデザイナーたちが、イームズ・オフィスから誕生する。チャールズは、家具、おもちゃ、建築、展覧会、写真、映画などは、すべてが結びつくと考え、レイと共に、多くの人に、視覚的な驚きを与えようと考える。

 イームズ・チェアのことを、タイム誌は「20世紀最高のデザイン」と書いたが、開発の歴史は、失敗の歴史でもある。体に合う椅子を、低コストで大量生産する目標でデザインされたが、やっと合板を成形する技術が出来た頃である。人体に合う貝(シェル)の形で、背もたれと座面が一体となった、画期的な椅子だ。コンペでは勝ったが、当時の機械では、合板を椅子の形に出来なかった。チャールズの孫、イームズ・デミトリオスが言う。「形だけのデザインだった」。試行錯誤を繰り返したチャールズとレイは、ロサンゼルスに向かい、椅子の完成を目指す。1942年、夫妻は、合板加工の機械を作るが、ちょうど戦争中、材料が不足で、稼働出来ず。

 戦争が終わり、再び、椅子作りにチャレンジする。人間の体型と姿勢から、平均値と例外を見つける。これが、イームズ・チェアのスタートとなる。1946年、発売準備が整い、ハーマンミラー社が製造権を獲得、一躍、イームズ・チェアは、戦後アメリカの豊かさの象徴となる。椅子だけでなく、多くの人が、イームズの家具を買った。50年代、60年代と、家具は成功を収める。そのデザインは、いまでもあちこちで見られる。空港の待合いのベンチ・チェア。壁収納式のベッド…。

 フェミニズムが叫ばれる以前である。レイは常に一歩引いた存在だ。責任者はチャールズだが、レイなしでは成立しない仕事である。ドイツの抽象画家ホフマンの弟子であるレイを、チャールズは画家として信頼し、敬愛する。チャールズは言う。「彼女のほうがなんでも上手だ」と。椅子の色を決めるのはレイで、事こまかに、チャールズへの指示をメモする。

©First Run Features.

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