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今週末見るべき映画 「ビル・カニンガム&ニューヨーク」

2013年 5月 16日 08:00 Category : Art

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 写真家のビル・カニンガムは、とても80歳すぎには見えない。ブルーの作業着のようなスモックをはおって、ニューヨークの町を、自転車で駆け抜ける。愛用のカメラはニコン。有名無名を問わず、これぞと思った服装をした人を撮る。撮った写真は、ニューヨーク・タイムズ紙に、コラム原稿と共に掲載される。

 ドキュメンタリー映画「ビル・カニンガム&ニューヨーク」(スターサンズ、ドマ配給)は、写真家として高名なビル・カニンガムの、50年になろうとする仕事ぶりや、あまり知られていない生い立ちやふだんの生活、つまりは、ビルの素顔がどのようなものかをスケッチしていく。生活は質素、カーネギー・ホールの階上にある古いスタジオに住んでいる。狭い部屋である。簡易ベッドに、写真が収納してあるキャビネットがズラリ。トイレやシャワーは共同だ。

 食べるもの、着るものに拘りがない。コーヒーは、安いほどいい、と思っている。高名なのに清貧。いっそ清々しい。ジョークを飛ばすのはお手のもの。誰にでも、気さくにジョークを飛ばす。広告業界から、帽子のデザイン、販売を経験する。以降、もう50年、連日、ニューヨークのストリートに出て、ファッション写真を撮り続けている。撮る対象は、プロのモデルや、セレブから、普通の人まで。要は、ビルが美しい、と思った女性たちである。ニューヨークには、アーウィン・ショーの小説「夏服を着た女たち」のように、思わず振り向きたくなる女性が多いらしい。

 有名人に群がるパパラッチと違うのは、ビルは、決して、人を陥れない。「ヴォーグ」のアメリカ版編集長アナ・ウィンターは、まだ若いころから、ビルに写真を撮ってもらい、いまでは、「ビルのために毎日、服を着るのよ」とまで言う。他に、ビルの人となりを語るのは、80歳を過ぎてなお、現役のモデル、カルメン・デロリフィチェ。映画「虚栄の篝火」や「ライトスタッフ」の原作者で、作家のトム・ウルフ。著名人のポートレート写真で高名な女流写真家、エディッタ・シャーマン。男性モデルのパトリック・マクドナルドたち。

 ビルは、コラム記事のために、セレブたちのパーティも取材する。酒や料理の山だが、水一杯、口にしない。あらかじめ、質素な食事をしてから、パーティ会場に向かう。「目的は取材で、飲み食いではない、ニューヨーク・タイムズ紙の看板は汚せない」とビルは考えている。ガツガツと飲み食いし、外車を乗り回すのを自慢するようなジャーナリストたちとは違う。ビルのこのスタイルは、ジャーナリストとして、当たり前のことである

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