今週末見るべき映画「しわ」

2013年 6月 21日 12:00 Category : Art

このエントリーをはてなブックマークに追加

 最近の新聞に、日本の高齢者の認知症患者は462万人、さらに予備軍が150万人、とあった。この数が多いのか、少ないのかは分からないが、平均寿命が延びるほど、認知症の患者数は増えるのだろう。日本に限ったことではない。アメリカ大統領の一般教書演説でも、認知症対策の重要性に触れている。

 まだ、認知症という名前がなかった頃と思うが、1973年に「恍惚の人」という映画があった。前年に有吉佐和子の書いた小説がベストセラーになり、豊田四郎監督が映画にした。いちやく「呆け老人」という言葉が話題になった。

 ここ数年の映画では、イギリスの女流作家アイリス・マードックが登場する「アイリス」や、「きみに読む物語」、「やさしい嘘と贈り物」、メキシコの女流監督マリア・ノバロの「グッド・ハーブ」など、いずれも認知症患者が登場する。記憶が薄れ、人格は変わるなど、テーマがテーマだけに、見ていて辛いけれど、状況設定を含めて、よく出来た脚本の映画ばかりで、ラスト近くでは、体が震えた。

 以前、テレビで放映されたと思うが、スペインのアニメーション映画「しわ」(三鷹の森ジブリ美術館配給)が、このほど公開になる。スペインのどこかの介護施設を舞台に、アルツハイマーも含めた、認知症のいろんな症状を示す患者の日常を綴る。ドラマは背後に潜み、患者たちの日常を、仄かなユーモアにくるんで押し切ってしまう。そしてなにより、厳しく重い現実を提示しているのに、表現はさりげなく、温かい。アニメーションだからこその味わいだ。

 原作は、日本にも来たことのあるパコ・ロカの描くコミックで、パコ・ロカは、本作でも共同脚本の一人として参加している。監督は、日本のアニメーションから多大の影響を受けたというイグナシオ・フェレーラス。シルヴァン・ショメ監督の傑作アニメーション「イリュージョニスト」のアニメーターを務めたキャリアがある。

映画「しわ」


Related article

  • 今週末見るべき映画「ファッションを創る男~カール・ラガーフェルド~」
    今週末見るべき映画「ファッションを創る男~カール・ラガーフェルド~」
  • 今週末見るべき映画「グランドフィナーレ」
    今週末見るべき映画「グランドフィナーレ」
  • 今週末見るべき映画「ボリショイ・バビロン 華麗なるバレエの舞台裏」
    今週末見るべき映画「ボリショイ・バビロン 華麗なるバレエの舞台裏」
  • 今週末見るべき映画「世紀の光」
    今週末見るべき映画「世紀の光」
  • セールスマン 【今週末見るべき映画】
    セールスマン 【今週末見るべき映画】
  • 永遠のジャンゴ 【今週末見るべき映画】
    永遠のジャンゴ 【今週末見るべき映画】

Prev & Next

Ranking

  • 1
    iida Art Editionsにコンセプトモデル、名和晃平と東信
  • 2
    ランボルギーニ「アヴェンタドール J」を世界初公開
  • 3
    今週末見るべき映画「ハーツ・アンド・マインズ/ベトナム戦争の真実」
  • 4
    「イスラエル映画傑作選」 東京フィルメックスレポート
  • 5
    「レンジローバー・イヴォーク5ドア」が初公開
  • 6
    ザハ・ハディドのソファ、B&B Italia新作
  • 7
    ヘブンリーベッド、「BALS TOKYO GINZA」で展示販売
  • 8
    ジャズ名盤講座第24回「ECM編」
  • 9
    ニッポンデザインを牽引「渡辺力さんの仕事」
  • 10
    今週末見るべき映画「her/世界でひとつの彼女」

Excite ism :

このエントリーをはてなブックマークに追加