今週末見るべき映画「メキシカン・スーツケース」

2013年 8月 22日 12:00 Category : Art

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キャパについては、いままで、あちこちで、語られている。この2月、キャパの代表作と言われている「崩れ落ちる兵士」の写真をめぐってのノンフィクション、沢木耕太郎の「キャパの十字架」(文藝春秋)が出版された。「崩れ落ちる兵士」の写真について、生前のキャパは、ほとんど説明しなかった。この写真は、いつのものか、場所はどこなのか、この人物は誰なのか、どのようにして誰が撮ったのか…。

©Magnum Photos/

「崩れ落ちる兵士」という1枚の写真をめぐる謎が提出され、ひとつひとつ、謎が解明されていく。もちろん、仮説ではあるのだが、その説得力はじゅうぶん。上質のミステリーを読むような面白さに引き込まれる。どちらが先でもいいのだが、本作と合わせて「キャパの十字架」をお読みになると、キャパという戦場写真家の足跡が、さらにご理解いただけると思う。

内戦では50万人の命が失われ、20万人が亡命する。スペインに残った共和派の多くは、拷問され、殺される。3年間の内戦後、フランコが死ぬまで、独裁政権による弾圧は、36年間続いた。メキシコと旧ソ連だけが共和軍を支援、多くの外国人写真家やジャーナリストが、スペインに向かう。しかし、戦場写真家の運命だろうか、タローは1937年スペインで、キャパは1954年インドシナで、シムは1956年スエズで、いずれも、戦場取材中に死亡している。

重要なインタビューが2つほど出てくる。有名な「崩れ落ちる兵士」の写真がさりげなく映された後に、内戦を戦った元兵士は言う。「もし自分が犯した過ちを忘れたとしたら、また同じ過ちを繰り返すだろう。過去を見つめずに、未来は築けない」。また、ある考古学者は言う。「歴史に関する記憶がはらむ危険は、今日の利益のために事実が歪められる」と。

ことはスペイン内戦に限らない。映画「メキシカン・スーツケース」は、戦争の、だから人間同士が戦うことの本質に迫っている。たまたま、2013年は、キャパの生誕100年になる。

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