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永遠に循環する生命のエネルギー、森万里子インタビュー

2013年 11月 21日 12:00 Category : Art

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21年にわたるニューヨーク滞在を経て、現在ロンドンを拠点に国際的な活躍をする日本人アーティスト森万里子。日本では久しぶりの個展が、表参道のエスパス ルイ・ヴィトン東京で開催中だ。東洋的な輪廻の思想にも繋がる循環型の宇宙進化論の考えを背景に、エネルギーの循環、宇宙における目には見えない繋がりなどを可視化したその作品は、われわれがみているものとは別の次元の宇宙があることを想像させる。エキシビション開催にあわせて帰国した森に、今回の作品が生まれた背景や意図、いま考えていることについて話をうかがった。

今回の展覧会はエネルギーの無限の再生がテーマになっていますが、「Infinite Renew」というタイトルをつけた理由を教えてください。

昨年ロンドンのロイヤル・アカデミー・オブ・アーツで「Rebirth」という展覧会を行ないました。その際にロイヤル・インスティテュート(英国王立科学研究所)で宇宙物理学者のブライアン・コックス氏と対談をさせていただきました。いままでの宇宙論では、東洋思想的な輪廻転生といった考え方はありませんでした。これまでの宇宙論では宇宙の始まりであるビッグバンは"無"から始まったとされていました。ですがさまざまな研究成果から最新の宇宙論では、質量を持った膜(=ブレーン)が重なりあって、その衝突の熱量によってビッグバンが起こったという学説が登場してきました。

わたしは昔から、無から宇宙が誕生したということに納得できずにいました。ビッグバンの前にも別の宇宙があったという、そのような東洋的なサイクリックモデルが宇宙論でもやっと主流になってきたと嬉しくなりました。それと宇宙の96%はダークマターとダークエネルギーという見えない物質に満たされていて、わたしたちに見えているのは、宇宙のほんのわずか4%にすぎないといわれています。「Infinite Renew」には、コックス氏の口から語られたサイクリックモデルと、最新の物理学と物理学者たちの発見という背景がありました。

表参道のエスパス ルイ・ヴィトン東京で開催の、森万里子の個展

©Louis Vuitton / Jérémie Souteyrat Courtesy of Espace Louis Vuitton Tokyo

3本のスパイラルからなる「Infinite Energy(無限のエネルギー)」というタイトルがつけられた作品があります。この作品のテーマを教えてください。

「Infinite Energy」は、先ほどの96%もの見えないエネルギーを視覚化したいと思って制作した作品です。わたしたち一人ひとりはエネルギーをもっているのですが、自分たちのエネルギーを感じることも、そういった視点で自分たちの存在をみることも日常生活ではありません。わたしたちの宇宙の96%は見えていない世界なわけですが、それを今回の展覧会で感じていただければと思っています。そんな目に見えないものがあるということは、虫の知らせ、という言葉があることひとつとっても、わたしたち東洋人にとっては身近な考え方としてあることがわかります。本当は作品のコンセプトをひと言で説明できるようなものがあればよかったのですが。東洋思想には輪廻という思想がありますが、かねてからわたしはその考えについて思いを巡らせていました。そんなおり、ここ数年の宇宙論においてもサイクリックモデルという宇宙循環システムに沿った宇宙論が登場してきたことを知ったのです。

わたしたち東洋人にとっては、すべてのものが循環のプロセスのなかにあるということ、生があり死がありそれが再生するということ、とくに自然のサイクルを日常のなかで大切にしている日本人にとっては、それらは当たり前のように生活のなかにあります。ですがこれまで、宇宙だけは何もないところからビッグバンにより誕生したと考えられていたのです。先ほどお話ししたように、最新の研究では、宇宙にも始まりと終わりがあって、それが再生しているということがわかってきて、東洋的な輪廻転生の循環システムという考えが正しいものだとわたし自身も確信するようになりました。「Infinite Energy」だけでなく「Renew」など、今回の作品はその循環システムをかたちとして強調した作品になります。「Infinite Energy」という作品では、そのわたしたちの目には見えない世界、光をアート作品として具現化しようと試みています。


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