今週末見るべき映画「鑑定士と顔のない依頼人」

2013年 12月 13日 12:00 Category : Art

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息のつかない面白さ。巧みなストーリー・テリング。張り巡らした伏線。鮮やかなどん返し。「鑑定士と顔のない依頼人」(ギャガ配給)は、「ニュー・シネマ・パラダイス」や「海の上のピアニスト」などの傑作を撮ったイタリアのジュゼッペ・トルナトーレの新作だ。

これが映画を見る醍醐味だろう。画面に釘付けになる。とにかく、面白い。金があり、潔癖だが、ある意味うぶな初老の美術鑑定士と、引きこもりの若い女性のラブ・ストーリーかと思いきや、ドラマは急転回し、準備された多くの伏線が、また別のドラマを用意する。


美術鑑定士ヴァージル・オールドマンに、ジェフリー・ラッシュが扮する。ヴァージルは、美術に関する知識が豊富、絵画などの本物か偽物かを見極める眼が確かである。その才能は、オークションでも発揮される。まさに名人芸、ジョークで笑いを取り、次々と古美術を高値で売り捌く。かたわら、ヴァージルは、ドナルド・サザーランド扮する、元は絵描きを目指していた男ビリーと、オークションにいかさまを仕掛けて、膨大な利益を上げている。

ある日、ヴァージルの許に、クレアと名乗る女性から、鑑定依頼の電話が入る。両親の遺産の家具や絵画を鑑定してもらいたい、という訳だ。しかし、依頼人のクレアは、ヴァージルの前に、なかなか姿を見せない。ヴァージルは、クレアの屋敷の地下で、もし本物なら、とんでもない価値のオートマタらしい部品を発見する。何度かのすれ違いや駆け引きを経て、ヴァージルは、やっとクレアと壁越えの会話を交わすことになる。

登場人物たちのささいな会話や独り言の端々、クレアの屋敷にあったオートマタの部品、絵画そのものなど、うっかりやり過ごしたシーンのひとつひとつが、後半、大きな意味を持つことになる。さながら、上質のミステリー小説を、映像で体験するようで、わくわく、ドキドキ。かつて、アガサ・クリスティやエラリー・クイーン、F・W・クロフツなどの書いたミステリーを愛読された方なら、ぐいぐいと引き込まれるはず。

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