今週末見るべき映画「フォンターナ広場―イタリアの陰謀」

2013年 12月 19日 19:00 Category : Art

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大ざっぱな言い方だが、どこの国にも、「政治の闇」といえる事柄が存在する。日本では、昭和24年、初代国鉄総裁の下山定則が轢死体で発見された下山事件がその一つだろう。映画では、1981年(昭和56年)に熊井啓監督が「日本の熱い日々 謀殺・下山事件」を撮っている。この「政治の闇」の、かなりの核心に迫ったノンフィクションが、柴田哲孝の「下山事件 最後の証言」(祥伝社)だ。作者 自身が、下手人グループのひとりと思われる人物の孫にあたり、本人からの証言を引き出した唯一の著書だからだろう。イタリア映画「フォンターナ広場―イタリアの陰謀」(ムヴィオラ配給)を見た後、そんなことを思った。 


1969年12月、イタリアのミラノ。ドゥオモ大聖堂の裏にあるフォンターナ広場近くの全国農業銀行で爆発事件が起こる。死者17名、負傷者は88名。捜査当局は、左翼の仕業とみて、アナキストたちを拘束する。現場の指揮官カラブレージ警視は、アナキスト・グループのリーダー、ビネッリを信用していて、彼らの仕業と思っていない。不法拘留を受けたビネッリは、取調室から転落死を遂げる。自殺か他殺か、単なる事故死なのか。

事件の真相をめぐって、多くの 関係者が次々と登場する。捜査に当たる警察、イタリア政府、右翼組織、アナキストたちだけでなく、NATO軍、CIAなどが関与してくる。闇は深く、真相が見えてこない中、カラブレージ警視は真相を掴もうとする。実話である。イタリア政府を揺るがした事件で、これまた、「政治の闇」だろう。おびただしい人物が、入れ替わり立ち替わり、登場する。誰がどのような人物かは、ある程度、字幕で説明されるが、相互の関係がなかなか理解しづらい。あらかじめ、爆破事件の概要や、当時のイタリアの状況などを、調べておくと、映画の内容、展開がより明確に理解できると思う。

サスペンスをはらみながらの、スピーディな展開である。事件の真相が明らかにならないまま、終盤を迎える。捜 査に当たったカラブレージ警視が、事件への見解と仮説を述べ、内務省情報局の副局長ダマートが、隠蔽した事実を明かすシーンがある。圧巻である。


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