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今週末見るべき映画「ドストエフスキーと愛に生きる」

2014年 2月 21日 12:00 Category : Art

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ドストエフスキーの「罪と罰」を初めて読んだのは、まだ中学生だったと思う。友人たちと、ラスコーリニコフの犯した殺人は正当化できるのか、自由とは何か、などと議論したことだった。そんな昔を思い出す映画を見た。

ロシア文学のドイツ語翻訳に生涯を貫いた、ウクライナのキエフ生まれの女性がいた。スヴェトラーナ・ガイヤーという。映画「ドストエフスキーと愛に生きる」(アップリンク配給)は、2009年に作られた、スヴェトラーナの日常とその人生を描いたドキュメンタリー。スヴェトラーナは、2010年、87歳で亡くなる。監督したヴァディム・イェンドレイコは、丹念に、静謐に編集する。


映画は、晩年のスヴェトラーナの日常をスケッチし、ナレーションとスヴェトラーナ自身の回想で、その人生が綴られる。クライマックスとなるのは、孫娘と訪れた故郷ウクライナ、キエフへの旅で、さながらロードムービーの体裁である。一語、一語、言葉を選び、熟慮して話すスヴェトラーナの発言は、重く、深く、様々な思いが込められている。

スヴェトラーナは、1923年生まれ。40年にわたってロシア文学をドイツ語に翻訳する。

90年代には、ドストエフスキーに没頭し、5つの小説、「罪と罰」(新訳では「罪と贖罪」)、「白痴」、「悪霊」、「未成年」、そして最後の小説「カラマーゾフの兄弟」の新訳を行う。そのほか、プーシキン、ゴーゴリ、トルストイ、ソルジェニーツィンらも翻訳する。父親は砂糖とたばこ作りで功績をあげ、当局から車を授与されたほど。1938年、父は、スターリンの大粛清にあい、釈放されるが、1939年、拷問の後遺症で亡くなる。ドイツ軍がキエフに侵攻する。母親は、将来のためにと外国語の習得を勧め、ドイツ語を学ぶ。動乱の時代、結果として、ドイツ語が、スヴェトラーナの身を守ることになる。

敵国ドイツの通訳を務めた。罪の意識があるのだろう。また、父親をスターリンの粛清で亡くしている。二重の悲しみを背負っての人生である。あがなうかのように、ドストエフスキーの新訳に打ち込む。スヴェトラーナは、翻訳だけでなく、話すときも、一語一語、最適の言葉を選ぶ。全体を理解し、最適な言葉を選ぶ。


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