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今週末見るべき映画「インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌」

2014年 5月 29日 08:00 Category : Art

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数々の傑作を撮り続けているコーエン兄弟である。取り上げるテーマは広く、語り口は、その都度、絶妙である。今回は、偶然の出来事からの運命の狂いではない。だから、大事件は起こらない。緩く、淡く、いくつかのエピソードを繋いでいく。映画の時間が経つにつれ、またまた、コーエン兄弟の仕掛けた魔法にかかってしまうようだ。カラーなのにモノトーン、時代の雰囲気を、くっきり映しとる。光と影のコントラストが鮮やか。軽い船酔いのような酩酊感に襲われる。


音楽体験が、60年代のアメリカのいろんな音楽から、といった人には、たまらなく懐かしいはず。ロンクの回想録には、多くの有名なジャズマン、ブルースやフォークシンガーたちが登場する。いくつかのエピソードが、映画のなかで、さりげなく使われている。映画をご覧になったあと、ロンクの回想録をお読みになれば、映画の奥深さが、さらにご理解いただけると思う。

いつもながら、音楽設計が絶妙。サウンドトラックでは、フォークの名曲がズラリ。クラシックも巧みに挿入される。最初のシーンでは、モーツァルトの「レクイエム」から「ラクリモーサ」が。ルーウィンが、ヒッチハイクでニューヨークに戻るときのカーラジオからは、マーラーの交響曲第4番の第4楽章、「天国の日々」が聞こえてくる。ソプラノは、ドロテア・レッシュマン。映画のシーンを考えると、まことに皮肉たっぷりの音楽だ。ダニエル・バレンボイムの弾く、ベートーヴェンのピアノソナタ「田園」や、シューマンの「3つのロマンス」、ショパンの「バラード第2番」もチラリと。

ルーウィン役で、ギターを弾き、実際に唄うのはオスカー・アイザック。多くの話題作に出ているが、本作が初の主演である。妊娠する歌手仲間のジーンに、キャリー・マリガン。妊娠したことで、ルーウィンをたびたび罵倒するシーンは圧巻。脇を固めるのが、コーエン兄弟作品の常連ともいえるジョン・グッドマンで、痛快なセリフをまき散らす。そのほか、ギャレット・ヘドランド、ジャスティン・ティンバーレイク、F・マーレイ・エイブラハムなど、豪華なキャスト。


ますます、深く、広く、展開するコーエン兄弟の世界。いいなあ、といつも思う。

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