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今週末見るべき映画「罪の手ざわり」

2014年 5月 30日 08:00 Category : Art

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昨年の第14回東京フィルメックスで、特別招待作品として、オープニング上映され、絶賛を浴びた「罪の手ざわり」(ビターズ・エンド、オフィス北野 配給)が、いよいよ公開となる。監督のジャ・ジャンクーは、変貌著しい中国のあちこちで、実際に起こった4つの事件からヒントを得て、登場人物が巧みに交錯した4編のドラマを創造する。ひたむきに生きる庶民の行動は、犯罪となり、他者に向けた暴力となり、自らの命をも絶つ。平凡な三面記事が、ジャ・ジャンクーの手にかかると、現代中国の抱える重大な問題が露わになる。経済格差、汚職、暴力などなど、だ。

昨年のカンヌ国際映画祭では、監督自身の手になる脚本が、脚本賞を受賞、世界からの共感、支持を集めた。しかし、中南海にいる政府要人から見れば、触れて欲しくない中国の恥部を暴かれたようなもの。映画の検閲や規制の緩和が進んでいるようにみえる中国で、昨秋、公開が決まった報道もあったようだが、いまだ中国では、公開されていない。


この4月、ジャ・ジャンクー監督が来日。監督の公私にわたるパートナー、女優のチャオ・タオも同席した囲み取材の機会があった。映画は、ジャ・ジャンクーの美意識が全編に炸裂し、その映像は、とてつもなく美しい。盟友のカメラマン、ユー・リクウァイとの共同作業である。撮影の工夫、色彩設計の苦労を聞いた。

「舞台はバラバラ、視覚的には、地域差がある4つの地域が、壁画のように繋がればと考えた。山西省は広くて灰色、荒涼として殺伐。重慶は、大きな川のほとり。湖北省は武狭小説の舞台で、多くのアクション映画を思い浮かべた。暖かい広東省は、緑が多い。中国をひとつの掛け軸に見立て、人が旅するように、4ヵ所を繋いでみた」と。

また、「このような移動は、重要な要素だと思う。経済成長とは、人が取り残された地域から、成長の進んだ地域に移動することでもある。人は移動しながら、生きている可能性を試している。好みではないが、ステディ・カムを初めて使用、4人の主人公の移動、走ったり、歩いたりを、抽象的だが、捉えられたと思う」とも。事実、計算され尽くしたカメラワークと色彩設計が、あざやか。雪が降る、道路をバイクで駆け抜ける、トマトが飛び散る、猟銃を放つ、動かない馬がいる、広場で演じられる京劇。シーンのひとつひとつが美しい。

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