今週末見るべき映画「ホドロフスキーのDUNE」

2014年 6月 13日 08:00 Category : Art

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昨年の第26回東京国際映画祭の「ワールド・フォーカス」部門で上映されたドキュメンタリー映画「ホドロフスキーのDUNE」(アップリンク、パルコ配給)は、荒唐無稽の面白さ。全編、劇的で痛快なエピソードが連続する。場内は、驚きのため息と、爆笑に包まれた。

歴史に「もしも」は存在しないが、映画の歴史で「もしも」が許されるなら、このアレハンドロ・ホドロフスキーが作ろうとした映画「デューン」が完成していたなら、SF映画だけではなく、映画そのものの歴史が、大きく変わっていたことと推測される。もちろん、似たようなことがある。スタンリー・キューブリックが「ナポレオン」を、オーソン・ウェルズがコンラッドの「闇の奥」を、ロベール・ブレッソンが「旧約聖書の創世記」を、アンドレイ・タルコフスキーがドストエフスキーの「白痴」を、フランシス・フォード・コッポラが「メガロポリス」を、撮りたくても撮れなかった歴史がある。ホドロフスキーとて、例外ではない。

南米のチリ生まれ、ロシア系のユダヤ人で、カルト映画の傑作と言われる「エル・トポ」や「ホーリー・マウンテン」などを撮ったホドロフスキーが、フランク・ハーバートの傑作SF小説「デューン」を映画にするべく奮闘する。どのような小説なのか、原作小説の「デューン 砂の惑星」(ハヤカワ文庫SF・矢野徹訳、昭和60年改訂版)の冒頭で、こう説明される。


「アラキス…砂丘…砂の惑星。ポウルの夢に一面乾ききった死の世界が広がる。そこがかれがこれからの一生を過ごす所なのだ。アラキスは苛酷な星ではあったが同時に唯一の老人病特効薬メランジの宝庫でもあり、皇帝の勅命を受けたアトレイデ公爵にとって、そこを仇敵ハルコンネン家にかわって支配することはこの上ない名誉と富を意味した…」とある。舞台は、遙か未来。全身、砂で覆われた巨大な虫が支配する惑星アラキス、通称デューンに存在するメランジというスパイスをめぐっての争いを描いた、壮大な話である。映画は、ホドロフスキーによる映画化をめぐって、どのようなスタッフ、キャストを集め、どのように作ろうとしたのか、そして、なぜ挫折したのか、結果、後のいろんな映画に、どのような影響を与えたかについて考察する。

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