今週末見るべき映画「収容病棟」

2014年 6月 27日 08:00 Category : Art

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まるで、奇跡の映像と思う。舞台は、雲南省の北西部、昭通市にある精神病院。患者は200人以上、女性の病棟もある。収容されている患者は、暴力的な人もいれば、おとなしい人もいる。法的に精神異常と判断されたり、政治的な陳情行為のせいで、異常と判断されての人もいる。また、薬物やアルコール中毒の患者もいる。いずれにしろ、「異常なふるまい」と判断された結果の収容である。

映像は、さまざまな患者を、丹念に追う。幾人もの患者の所作、行動、発言に接しているうちに、まるで、この病院にいるかのような錯覚に襲われる。カメラと被写体の距離が、どんどん無くなっていくようなのだ。


患者たちは、病室で排泄したり、廊下の水道で体を洗ったり、決して、衛生的ではない。食事のシーンも少し出てくるが、決して、恵まれた食事ではない。確かに、精神のどこかを病んでいる人たちとは思う。患者たちの発言に耳をすます。「ここでは考えることしかやることはない」、「ここに長くいれば、精神病になる」。

以前、「精神」というドキュメンタリー映画を撮り、「精神病とモザイク」(中央法規出版)という本を書いた想田和弘監督に話したことがある。映画「精神」に出てくる患者さんは、精神を病んでいることを自覚し、医師に自分の症状をキチンと伝えている、どこが、病気なのか、と。正気と狂気の狭間は、ないのではないか、と。

「収容病棟」では、患者の一人が、帰宅措置で、一時、自宅に戻る。戻ってきても、日々の暮らしがある。仕事は見つからない。むしろ、閉ざされてはいるが、病院にいるほうが、彼はむしろ幸せ、安寧ではなかろうかとも思えてくる。病棟では、鉄格子で区切られてはいるが、愛をささやく男女もいる。閉ざされて、区切られているのは、病院ではなく、現実の社会ではないかとさえ、思えてくる。

なぜ、このような状況になったのか。いま、中国では、どのようなことが起こっているのか。その結果である。「収容病棟」は、ワン・ビンの言う通り、「自然の姿」である。

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