今週末見るべき映画「イヴ・サンローラン」

2014年 9月 5日 09:00 Category : Art

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イヴ・サンローランが劇映画になった。すでに、本欄で紹介したドキュメンタリー映画「イヴ・サンローラン」は、2011年4月に公開されている。イヴ・サンローランの公私にわたるパートナーのピエール・ベルジェが、イヴとの日々を回想するドキュメンタリーは、ピエールの語るイヴだったが、劇映画「イヴ・サンローラン」(KADOKAWA配給)は、より劇的に、より人間味溢れるイヴの素顔とその仕事、人生が描かれていく。

フランスでは、この1月に公開されたが、「ゼロ・グラビティ」を上回る興行成績だったらしい。なによりも、超有名人であるイヴと、盟友ピエールの人物像が、フランス映画の伝統だろうか、精細に、巧緻に、過不足なく描かれている。イヴに扮したピエール・ニネが、イヴにそっくりなのに驚く。ピエール役のギョーム・カリエンヌは、自作自演で、自伝的コメディ映画「不機嫌なママにメルシィ!」を撮ったほどの才人である。ふたりとも、モリエールの伝統を引き継ぐコメディ・フランセーズに在籍、その演技力は折り紙付き。


イヴは、1957年、21歳にして、クリスチャン・ディオール急死の後に、ディオール社のチーフ・デザイナーとなる。以降、数々のコレクションをヒットさせ、女性のファッションに革命を起こした。ディオール社を経て、1961年、ピエールとともに、「イヴ・サンローラン」を設立する。イヴは、モンドリアン・ルック、スモーキング、サファリ・ルックなどなど、その手になる数々のコレクションは、世界じゅうで大ヒットする。オートクチュールに拘らず、多くの女性に、プレタポルテを提供する。


男色であることを隠さない。イヴの生まれはアルジェリアのオランである。ちょうど、アルジェリア独立をめぐっての激動期だ。故郷での男色は、犯罪者扱いである。幼少の頃、トイレに閉じこめられ、オカマとバカにされた。性格は繊細で内気。服飾デザインでは天才的であっても、実生活は、不器用、些細なことには無頓着でもある。名を上げ、成功しても、性格は変わらない。そんなイヴを、守護天使のように見守り、支えるピエールがいる。映画の魅力は、ひとえに、イヴ役のピエール・ニネと、ピエール役のギョーム・ガリエンヌの、心理描写、演技にある。

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