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今週末見るべき映画「トム・アット・ザ・ファーム」

2014年 10月 24日 08:00 Category : Art

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グザヴィエ・ドラン監督の「トム・アット・ザ・ファーム」(アップリンク配給)は、昨年の東京国際映画祭の「ワールド・フォーカス」部門で上映され、たいへんな評判を呼び、一般公開が待ち望まれていた。グザヴィエ・ドランは、映画の歴史のなかで、何十年にひとり、出るか出ないかの天才、逸材と思う。まだ20代なかば。10代で撮った「マイ・マザー」や、二作目となる「胸騒ぎの恋人」でも、その才気煥発ぶりに驚いたが、三作目にして傑作の「わたしはロランス」(イズムでも紹介)を撮る。高い評価で迎えられたが、一部の映画ジャーナリズムは、高い採点を与えなかったようだ。同性しか愛せないことへの偏見があり、異性のように振る舞いたいことへの共感が、まだまだ少数なのかも知れない。


グザヴィエ・ドランは、自らの作品に出て、演出し、音楽や衣装まで手がける。「トム・アット・ザ・ファーム」では、さらに完成された映画的空間が現出する。スリリングでサスペンスたっぷり。人間の心理に、深く囁きかけ、不安と恐怖を募らせる。

グザヴィエ・ドラン扮する主人公のトムは、カナダ、ケベック州の農場に向かう。モントリオールの広告代理店での同僚で、恋人だった男性ギョームの葬儀に出るためである。人里離れた農場には、ギョームの母親と兄がいる。葬儀を前にして、トムは知る。生前のギョームは、ゲイの恋人であるトムのことを母親に隠していたこと。また、ギョームは、母親には、トムの同僚でもあるガールフレンドがいると偽っていたことを。

兄からは、母親には、ギョームの単なる友人であるよう振る舞うことを強要される。トムには、ギョームを救えなかった罪の意識があり、母親の存在と、兄の暴力に屈し、トムはギョームの代理のような役割を演じ続けることになる。結果、トムは、逃げだそうとしても逃げ出せない状況に陥ってしまう。


原作はミシェル・マルク・ブシャールの舞台劇である。辺鄙な農場という閉ざされた空間に、叶わなかった、あるいは中断された愛の引き起こす不安や恐怖を、寓意的に描いた戯曲である。グザヴィエ・ドランは、即、映画にしたいと思ったという。もう、引き込まれてしまう。トムが農場を訪れるくだりからラストまで、あらゆるシーンでの緊迫感は、尋常ではない。サスペンスたっぷりの展開だ。

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