新しい建築、そして東京の都市を考える。ザハ・ハディド展

2014年 10月 28日 09:00 Category : Art

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東京オペラシティアートギャラリー(東京都新宿区)で「ザハ・ハディド」展がスタートした。

バグダッド生まれ・ロンドン在住のザハ・ハディド(1950~)は、現代の建築界を牽引する巨匠であり、世界を席巻する建築家。1980年に自身の事務所を設立、83年には〈ザ・ピーク〉の国際コンペティションで勝利し、そのコンセプトとともにザハの名は一躍世界に知られた。しかしこのプロジェクトをはじめ、ザハの設計は当時の施工技術や建築思考に収まらない前衛的な内容だったため、独立後10年以上にわたって実際に建てられることはなく、長らく「アンビルトの女王」(アンビルト=建設されない)の異名を与えられていた。

1993年〈ヴィトラ社消防所〉が初めての実現プロジェクトとなってからは大規模なコンペティションで次々に勝利を重ね、かつ実際に建てられるようになった。そしてこのたび〈新国立競技場〉国際デザイン・コンクール最優秀賞選出により、日本でも実作の建設が決定。

日本初の大規模個展となる本展では、ザハ・ハディドのこれまでの作品と現在の仕事を紹介し、その思想を総合的に紹介する。アンビルトの時代に膨大なリサーチにもとづいて描かれたドローイングから、世界各地で建てられるようになった実作の設計、スケールを横断する例であるプロダクト・デザインを含め、展示空間全体を使ったダイナミックなインスタレーションで構成されている。

ザハ・ハディド/Photo:Brigitte Lacombe ©ZahaHadid Architects

#01.アンビルトの時代/日本との関わり
イラクの進歩的な家庭に生まれたザハは、多様な文化的背景をもつ人々と交流しながら少女時代を過ごし、ベイルートの大学で数学を学んだ。その後1972年に渡英したザハは、幼いころからの夢であった建築家を目指して英国建築家協会付属建築学校(AAスクール)に入学。ここで当時講師であったレム・コールハースに出会い、卒業後は彼の主宰する Office for Metropolitan Architecture (OMA)に参加、3年後の1980年には自身の事務所を設立する。

独立後、〈ザ・ピーク〉の国際コンペティションで1等になるなど早くから世界的な注目を集めるようになったが、そのどれもが計画の途中で中止となり、10年以上にわたって実作に恵まれることはなかった。しかしこの時期は建築と都市に関する膨大なリサーチと実験を繰り返した期間で、この間には日本と関連するプロジェクトも存在し、札幌のレストラン〈ムーンスーン〉の内装がキャリア初の実現プロジェクトとなった。

本展の前半では、「アンビルトの女王」と呼ばれた時代にあって精力的に描かれたペインティングやドローイング、都市や空間の可能性を探った模型、札幌のレストラン内装を含む3つの日本のプロジェクトなど、初期の仕事を紹介している。

〈ザ・ピーク〉香港1982-83実現せず/©ZahaHadid Architects
ヴィクトリア・ピーク山上のレジャー・クラブ建設に際して行われた国際コンペティション。500以上の応募案の中から当時無名のザハが1等に選出された。審査委員のひとりは磯崎新だった。無数の破片が飛び散ったようなダイナミックなドローイングは建築界に衝撃を与えた。事業者の倒産によって計画は中止されたが、このプロジェクトによってザハは世界的な注目を集めた

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