【トーク】ルネサンス三大巨匠編(2)/第一回ヘンタイ美術館

2014年 11月 11日 09:00 Category : Art

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4月に行われたイズム主催「第一回ヘンタイ美術館」のトークイベントの内容を5日連続で掲載する。本日は2日目。12月4日に「第三回ヘンタイ美術館」が開催予定。ぜひ臨場感を体験してほしい。

ヘンタイ美術館〜美術の歴史は、ヘンタイの歴史である〜/第一回トークショー
ルネサンスの三大巨匠ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエロ。いちばんのヘンタイは誰だ!?(2)


#01.ゴルゴ式工房システム!? ラファエロ

学芸員見習い こやま淳子(以下、J見習い):ダ・ヴィンチさんは意外と作品数が少ないということがわかりましたが、ラファエロさんはいっぱい描いてるんですか?

山田五郎館長(以下、G館長):うん。この中でいちばん早く死んだのはラファエロなんだけどね。37歳くらいで死んだと思う。

J見習い:それは若いですねえ。

G館長:こういう顔してるからね、ちょっとモテたんですよ。

ラファエロが23歳の時に描いたとされる自画像/RAFFAELLO Sanzio/Self-Portrait/1506/Oil on wood, 45 x 33 cm/Galleria degli Uffizi, Florence

J見習い:あー、たしかにイケメン!

G館長:ラファエロ展やったとき、栗原類がラファエロのコスプレしてプロモーションやってましたね。

J見習い:栗原類! 似てる!(笑)。

G館長:モテすぎて悪い病気もらって死んじゃったともいわれています。ちなみにミケランジェロは享年88。当時としては異常なほど長生きしてる。で、レオナルドも60いくつまで生きてるんだよ。当時としては結構、長生き。だけどいちばん短命だったラファエロより作品数が少ないんだよ。

J見習い:ふうむ。

G館長:ラファエロは大作の依頼が多かったことも、評価の高さを物語ってる。バチカンには彼の大作が四方を飾る『ラファエロの間』があって、この有名な作品もそこにある。

『アテネの学堂』、バチカン宮 -署名の間-/The School of Athens/1509/Fresco, width at the base 770 cm/Stanza della Segnatura, Palazzi Pontifici, Vatican

J見習い:これ、ブルータスの美術特集で見ました! たしか遠近法の説明で…。

G館長:遠近法。そう、それがラファエロに代表される西洋古典絵画の最大の特徴のひとつ。遠近法にも二種類あって、ひとつが一点透視図法とも呼ばれる線的遠近法(『アテネの学堂』など)。画面のどこかに設けた消失点から線を外に向かって放射状に広げることで奥行きを表現する技法ですね。で、もうひとつは空気遠近法とも呼ばれる色彩的遠近法。手前の方のものは赤茶っぽくはっきりと、遠くのものは青っぽくぼかして描くことで、奥行き感を演出する技法。この作品ではちょっとわかりにくいけど(『モナ・リザ』など)。

そして、ルネサンス期に確立された西洋古典絵画のもうひとつの特徴的な技法が、色の濃淡のグラデーションで立体感を出す陰影法。これは油絵という画材を得ることで飛躍的に発展した技法で、日本画とかにはあまり見られない。

J見習い:陰影法もラファエロが考えたんですか?

G館長:いや、むしろレオナルドが完成させたといわれてる。遠近法も陰影法も、ルネサンス期を通じて多くの画家が少しずつ発展させてきた技法をレオナルドが集大成して理論化し、ラファエロが実践したって感じかな。

J見習い:なるほど。

G館長:遠近法と陰影法、このふたつを使って、いかに絵画を立体的に描くかっていうのが西洋絵画の特徴で、ほかの文化圏の絵画と比べて、一番の特徴はそこなのよ。

J見習い:つまりそういう技法がいっぱい入ってるから、ラファエロはお手本になるってことですね?

G館長:そう。それから、宗教画とか歴史画とか、そういう一番重要とされる分野でたくさんの名作を遺したから。ちなみにこの作品の中に3大巨匠がいるのは知ってます? 学校で習わなかった?

J見習い:え? どこ? どこですか?

G館長:この真ん中のふたりね、これプラトンとアリストテレス。

J見習い:哲学者的な人ですね。

G館長:このルネサンスの時代に、いちばんエラかったのはプラトンなんだよね。中世ではアリストテレスのほうがエラいことになってたんだけど。で、いちばんエラいプラトン役をやっているのが、さっきの肖像を見てピンとくるかもしれないけど、レオナルド。

プラトン(レオナルド・ダ・ヴィンチがモデル)/拡大図

J見習い:あああ! ほんとだ!

G館長:で、だったらミケランジェロはアリストテレス…かと思いきや、こっちなんだよね。 

ヘラクレイトス(ミケランジェロがモデル)/拡大図
J見習い:それは誰なんですか?

G館長:ヘライクレトスっていう哲学者で、かなり厭世的な人。世の中が嫌いな気むずかしい哲学者の役がミケランジェロ。

J見習い:キャラが合ってたんでしょうね…(笑)。

G館長:で、ラファエロがどこにいるかっていうと、こっちですね。

アペレス(ラファエロがモデル:左側)/拡大図

J見習い:おお!

G館長:リスペクトしてるレオナルドはいちばんエラい役につけておいて、自分はアペレスという画家に扮してその他大勢役に甘んじる。そんな気遣いができる画家。

J見習い:これ遊びで入れてるんですか? ヒッチコックが自分の映画に出るみたいなノリですか?

G館長:そうそう!映画でいうカメオ出演ってやつ。 

J見習い:けっこうおもしろい奴ですね、ラファエロ。

G館長:話を戻すと、37歳で亡くなってるのに、どうしてこれだけたくさんの作品を残せたか? ラファエロが栗原類と大きく違う点はね、じつにビジネスマンとして優秀だったんですよ。

J見習い:ネガティブじゃなかったんですね(笑)。

G館長:そう。ものすごくポジティブな人だったの。経営がうまくて、自分の工房に弟子たちをたくさん雇って、ばんばん描かせてたの。でも仕上げだけはわしがやるよ、っていう『ゴルゴ13』のさいとう・プロダクションみたいな。

J見習い:だから大量生産できたわけですね!(笑)

G館長:じゃなきゃ『ゴルゴ13』だって、あんなにたくさん描けないよ。で、経営の手腕って、画家としての手腕とはまた別ものじゃない。ラファエロはその両方が優れてて、ちゃんと弟子たちを育ててる。その点でも彼は職業画家のお手本だったわけですよ。

J見習い:つまり人付き合いが上手だったわけですね。

G館長:そう。社交好き。だから絵の注文もばんばん取れた。

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