2014~2015|年末年始おすすめDVD映画

2014年 12月 26日 08:00 Category : Art

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一般庶民にとっては、なにかと不景気な今日この頃である。暮れのボーナスの実情が、格差社会そのものを象徴する。何十万円ももらう人はごく少数で、もらってもわずかのモチ代程度、もらえない人も多数いる。このほどの選挙結果にしても、政府の言う「民意」などはまったく無く、わずか52%の投票率こそが民意だろう。もろもろの税が上がり、物価も上昇している。厳しい現実が続く。

が、しかし、嘆いてばかりでも仕方がない。この年末から年始、多くの優れた映画が公開になる。そう大金が必要ではない。映画館に足を運ぶもよし。叶わなければ、せめて自宅で、いい映画のDVDをじっくり見るチャンスだろう。いくつか、選んでみた。

古典から、エルンスト・ルビッチ作品が3本のボックス。新旧2本の日本映画。つい最近の外国映画から、見逃したけれど、優れた2本の計5作で、作品数でいうと7本になる。いつでも見れるよう、購入もよし。7泊8日のレンタルもよし。大げさにいえば、映画を見たことで、それぞれの人生が変わるかもしれない。映画には、そういった力があると信じている。不景気感を吹き飛ばしての年末年始、映画のDVDで、じっくりお楽しみいただけたら、なによりです。

#01.「巨匠たちのハリウッド エルンスト・ルビッチ傑作選DVD-BOX2」
3本のエルンスト・ルビッチ作品のボックスである。ルビッチ監督は、いわゆる「ルビッチ・タッチ」と言われるほどの監督で、ビリー・ワイルダーや小津安二郎などなど、多くの映画作家たちに多大の影響を与えた巨人である。現役の監督たちにも、もちろん、大きな影響を与え、ウェス・アンダーソン監督の近作「グランド・ブダペスト・ホテル」(イズムで紹介)などは、ルビッチに捧げたオマージュであふれている。当然、ルビッチは、映画の教科書ともいえる多くの傑作を残している。

有名なのは、ルビッチがドイツからアメリカに渡ってからの作品群で、アドルフ・マンジュー、メリー・プレヴォー主演の「結婚哲学」(1924年)、ロナルド・コールマン、メイ・マカヴォイ主演の「ウインダミア夫人の扇」(1925年)、ゲーリー・クーパー、クローデット・コルベール主演の「青髭八人目の妻」、グレタ・ガルボ、メルヴィン・ダグラス主演の「ニノチカ」などなど、いずれも優雅で洗練されたコメディ・タッチで、男女の微妙な心理の綾を、きめ細かく描いている。

「巨匠たちのハリウッド エルンスト・ルビッチ傑作選DVD-BOX2」/発売中、発売元:ブロードウェイ、©BROADWAY、6,750円(税抜き)

本ボックスに収められているのは、年代順に「山の王者」(1929年)、「淑女超特急」(1941年)、「ロイヤル・スキャンダル」(1945年)の3本で、「山の王者」は日本で劇場公開されたが、「淑女超特急」、「ロイヤル・スキャンダル」は未公開で、ビデオ、DVDの時代になって、やっと見ることができるようになった。

「山の王者」の舞台はスイス。猟師のジョン・バリモアは、牧師の姪のカルミラ・ホルンと恋仲である。スイスを占領していたフランス軍が引き上げ、村じゅうでお祭り騒ぎが始まる。騒ぎに乗じて、バリモアは浮気、もつれた三角関係となる。小粋で軽やか、これぞ艶笑喜劇のお手本のような作品。

「淑女超特急」もまた艶笑喜劇。ニューヨークの歯科医メルヴィン・ダグラスとマール・オベロンは、しっくりといかない夫婦。なにかと夫に不満のあるマール・オベロンが、ピアニストのバージェス・メレディスに惹かれていく。ややドタバタふうに展開する三角関係だが、秘策を巡らすメルヴィン・ダグラスが、まことに達者な演技を披露する。

オットー・プレミンジャーとの共同監督作が「ロイヤル・スキャンダル」。1924年のサイレント作「禁断の楽園」のセルフ・リメイクで、ロマノフ王朝のロシア女帝エカテリーナ2世の好色ぶりを、洒落たタッチのパロディで描いていく。女帝に扮したタルーラ・バンクヘッドが、クーデターの報告に参じた兵士ウィリアム・イースの美貌に惚れ込む。ルビッチは撮影中、心臓発作で倒れる。撮影を託されたプレミンジャーが、ルビッチ演出を引き継ぎ、映画が完成する。

ルビッチのハリウッド初期、独立しての円熟期、晩年の、それぞれの時代を代表する作品集である。ルビッチのフリークはもちろん、映画での温故知新、貴重な作品集だ。

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