今週末見るべき映画「ナショナル・ギャラリー 英国の至宝」

2015年 1月 16日 08:00 Category : Art

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もうずいぶん前だが、ロンドンのチャリング・クロス駅の近くのホテルに2泊したことがある。トラファルガー広場のすぐ近くだから、ナショナル・ギャラリーには歩いていける距離である。団体のツアーなので、時間的な余裕はなかったが、なにはともあれ、ナショナル・ギャラリーに出かけてみた。こじんまりしたギャラリーには、傑作絵画がズラリ。ダ・ヴィンチ、アーヘンの祭壇画、ミケランジェロ、ホルバイン、カラヴァッジオ、ルーベンス、ベラスケス、レンブラント、ターナー、ゴッホ、ピサロ、ティツィアーノ…。もう、枚挙にいとまがない。

アメリカのドキュメンタリー作家、フレデリック・ワイズマンが、長年の夢だったナショナル・ギャラリーの全貌に迫り、記録したのが「ナショナル・ギャラリー 英国の至宝」(セテラ・インターナショナル配給)だ。世界中から、年間500万人以上の人がナショナル・ギャラリーにやってくる。ギャラリーでは、キュレーターや美術史家などの専門家のトークがある。いずれも絵画への愛情に溢れたトーク、ガイドである。身振り手振りを交えて、熱っぽく絵画の背景について語る。


所蔵点数は2300点ほど。ルーブル美術館やプラド美術館と比べると、こぢんまりしたギャラリーだが、内容は、「すごい!」としか言いようがない。ルネサンスから17世紀のオランダ、印象派から近代まで、作品の幅は広い。運営は、寄付と助成金でまかなう。常にガイドツアーがあり、イベントがあり、デッサンなどのワークショップがある。しかも、入場無料。

ワイズマンの目は、多くの傑作絵画だけに向けられてはいない。ギャラリーの床を掃除する人、ギャラリーの案内人、絵画を見つめる観客、ギャラリー運営の会議をする人たち、修復する人、修復をめぐって科学的に分析する人、額縁を作る人、絵画の内容を吟味した上での照明を工夫する人などなど、およそギャラリーに関わるすべての人に向けられる。

おそらく、絵画の見方が、一変するほどの迫力である。豊富な比喩、激しい身振り手振りで、キュレーターたちは、情熱的なトークを展開する。絵画の細部細部には、すべて、意味があることが伝わってくる。上映時間は3時間1分。もう終わりか、と思うくらいの、濃密で至福、眼福の時間である。

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