今週末見るべき映画「きっと、星のせいじゃない。」

2015年 2月 19日 08:00 Category : Art

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さも泣かせようという映画は、あまた、ある。愛し合う男女のどちらかが、不治の病に侵され、やがて亡くなるといったパターンだろう。「きっと、星のせいじゃない。」(20世紀フォックス映画配給)のなにより優れているのは、観客を泣かせようといった仕掛けが目立たない点である。しかも、不治の病は、知り合った男女ともという設定なのに、である。


映画の基調は、明るく、快活である。17歳の女子高生ヘイゼルは、甲状腺のがんが肺に転移して、カートで牽引する酸素ボンベが離せない。ここ数年、入院退院を繰り返している。両親の勧めで、半ばいやいやながら、がん患者の集会に参加する。そこで知り合ったのが18歳のオーガスタス、通称ガスである。ガスは、悪性の骨肉腫をなんとか克服したが、片脚を失い、義足である。ガスにはアイザックという親友がいる。やはり、がんに侵され、片目はガラス、いずれ両眼とも失明するかもしれないリスクを抱えている。


映画は、深刻ながんを抱える若者3人の闘病生活を、明るく、希望に溢れた時間として綴っていく。悲惨な設定なのに、3人はとにかくユーモラス。恋に落ちるヘイゼルとガスに、ヘイゼルの両親、アイザックが、必死に寄り添う。脚本が秀逸。含蓄のあるセリフが、全編に散りばめられている。「私は爆弾、ある日、爆発して周りを壊滅させる」、「愛なんて虚しい、いつかは忘れられる」、「生きていれば傷つくこともあるが、その相手は選べる。君に傷つけられたら本望だ」、「虹を見たければ、雨は我慢すべき」…。


よく書かれた脚本には、原作がある。ジョン・グリーンの書いた小説「さよならを待つふたりのために」である。原作の骨格を生かして、映画のために脚色したのはスコット・ノイスタッターとマイケル・H・ウェバー。「(500)日のサマー」のコンビである。

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