今週末見るべき映画「パリよ、永遠に」

2015年 3月 6日 08:00 Category : Art

このエントリーをはてなブックマークに追加

将軍に総領事、お互いに譲らない。緊迫したやりとりが展開する。ああ言えばこう言う。なだめたり、すかしたり、おだてたり。気を引いたり、無視したり。見どころ、聞きどころたっぷりの、濃密な会話劇である。映画の原案になったのは、シリル・ジェリーの戯曲「DIPLOMATIE」で、「外交」を意味する。将軍と総領事は、手練手管を尽くし、思慮深い「策」を秘め、あらゆる可能性を予測し、臨機応変に対応する。


映画は、舞台と同じ俳優が演じる。ドイツ軍のコルティッツ将軍にニエル・アレストリュプ。スウェーデンの総領事にアンドレ・デュソリエ。どちらも、実績じゅうぶん、経験が豊富なフランス人俳優である。監督はドイツのフォルカー・シュレンドルフ。ギュンター・グラスの傑作「ブリキの太鼓」を、ほぼ完璧に映画化している。

2曲、すてきな音楽が聞ける。冒頭の音楽は、ベートーヴェンの交響曲第7番第2楽章のアレグレット。過去、多くの映画に使われている。ジャン・リュック・ゴダールが好きな音楽らしく、「ゴダールの映画史」、「ゴダールの新ドイツ零年」、最近では「さらば、愛の言葉よ」(イズムで紹介)でも使用している。

他では、ジャック・ドゥミの「ローラ」、アンドレイ・タルコフスキーの「ストーカー」、ギャスパー・ノエの「アレックス」、ターセムの「落下の王国」、トム・フーバーの「英国王のスピーチ」などなど、枚挙にいとまがない。映画の内容を象徴するかのように、シャンソンの名曲「二つの愛」が唄われる。「黒いヴィーナス」ことジョセフィン・ベーカーの名唱である。

息つくヒマのない、濃密なドラマである。まさに、これが本当の「外交」と思わせる。どの時代、どの国にも、優れた軍人、政治家、外交官がいるものである。日本政府の関係者各位は、揃って、じっくり、ご覧になることをおすすめする。もちろん、一般の映画好きにも。

Related article

  • 「ハンズ・オブ・ラヴ 手のひらの勇気」【今週末見るべき映画】
    「ハンズ・オブ・ラヴ 手のひらの勇気」【今週末見るべき映画】
  • 光のコンペイトウ、田中千尋「ライトクチュール」展
    光のコンペイトウ、田中千尋「ライトクチュール」展
  • 今週末見るべき映画「光りの墓」
    今週末見るべき映画「光りの墓」
  • 9日から鴻池朋子展「隱れマウンテン 逆登り」
    9日から鴻池朋子展「隱れマウンテン 逆登り」
  • 今週末見るべき映画「ローマでアモーレ」
    今週末見るべき映画「ローマでアモーレ」
  • 今週末見るべき映画「ステーキ・レボリューション」
    今週末見るべき映画「ステーキ・レボリューション」

Prev & Next

Ranking

  • 1
    【レポート】第三回ヘンタイ美術館、「理想と現実、どちらがヘンタイか」
  • 2
    グリーン ポルシェ!  パナメーラS e-ハイブリッド
  • 3
    車と人のいい関係。ボルボ V40、デザイナーが語る北欧主義
  • 4
    インタビュー:マリオ・ベリーニ、名作誕生を語る
  • 5
    谷尻誠インタビュー:都心の広場に巨大なジャングルジムが出現
  • 6
    ムービー:軽井沢千住博美術館、西沢立衛設計
  • 7
    iPad、販売台数200万台を突破
  • 8
    レイバンの名作が、ミッドセンチュリー色にパワーアップ
  • 9
    アルフレッド ダンヒル 銀座本店がオープン
  • 10
    アルファ ロメオ 8C コンペティツィオーネが日本国内に

Excite ism :

このエントリーをはてなブックマークに追加