世界的巨匠建築家が見つめた建築|「TANGE BY TANGE 1949-1959 丹下健三が見た丹下健三」

2015年 3月 11日 08:10 Category : Art

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また、1949-1959という10年間は、丹下の世界的な建築家としての名声を揺るぎないものとする、初期傑作が実現した時期にあたる。町のそこかしこにまだ先の大戦の痕跡の残る広島の中心部に、原子力爆弾の犠牲者を永遠に慰霊するためにつくられた広島ピースセンターを中心とした一連のプロジェクト(1952-1955年)。桂離宮の写真に見られる日本の伝統へのまなざし。東京都庁舎(1957年)における清水寺の舞台の木組みを想起させるグリッドのラインへの偏愛。広島で実現した人びとのための広場をもち、モダニズム建築と日本の伝統建築を融合し、のちの市庁舎建築に大きな影響を与えた開かれた庁舎、香川県庁舎(1958年)を映し出す写真など。

人間のスケールと神々のスケールを匠みに対比させて、建築が生み出しうる崇高な空間体験を、人がつくりだすものである建築によってもたらした丹下。そんな市井の人々のための建築の姿を捉えたこれらの写真には、世界的な建築家としての歩みとともに、戦後日本の平和への願いと思い、人間主体の民主主義への歩みを建築として形作ろうとした丹下の思索の跡が刻まれている。

写真キャプション:広島平和会館原爆記念陳列館(広島県広島市、1952年)/1952年撮影 ©丹下健三
墓地の中から立ち上がる広島平和会館原爆記念陳列館。この敷地はもともと墓地であった。墓石自身原爆に照射され焼けている。その墓を守る人もいなくなり、多くは無縁仏になった。


東京都庁舎(東京都千代田区、1957年)/1957年撮影 ©丹下健三
水平垂直とあおりを基本とする建築写真の作法に反し、カメラを斜めにかまえて撮影

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