今週末見るべき映画「イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密」

2015年 3月 12日 08:00 Category : Art

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もう10年ほど前になるが、サイモン・シンの書いた「暗号解読」(新潮社・青木薫訳)という本を読んだ。これが、べらぼうにおもしろい。暗号とはそもそも何なのかを、その歴史をひもとき、現在のインターネット社会における暗号にまで言及した本である。しかも、一般の読者に向けて、できるだけ分かりやすく書かれている。

かつて、ローマ字を習い始めた頃、学校で、友人たちと秘密の手紙のやりとりをしたことがある。たとえば、「KIMIGASUKI」(君が好き)のアルファベットを1字ずらせて、「LJNJHBTVLH」と書く。教師に発見されても、これでは何の意味か分からない。映画「2001年宇宙の旅」に出てくる「HAL」コンピューターの「HAL」を1字ずらすと「IBM」になるような、拙いけれど、なんだか、得意になっていたような時代を思い出させる本が「暗号解読」であった。

このほど、「イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密」(ギャガ配給)が公開される。「暗号解読」には、ドイツ軍の暗号エニグマ解読に挑戦したイギリスの数学者アラン・チューリングについて、その人生が手短に、うまくダイジェストされている。映画は、いくぶん史実とは異なるが、ほぼ、チューリングがどのような人物だったかを、時系列を巧みに交差させながら、その人生を描いていく。もちろん、チューリングたちが、エニグマ暗号解読の機械を開発、ドイツ軍の暗号解読に迫るまでの経緯が、サスペンスたっぷりに描かれる。


今年のアカデミー賞では、作品賞、監督賞(モルテン・ティルドゥム)、主演男優賞(ベネディクト・カンバーバッチ)、助演女優賞(キーラ・ナイトレイ)、脚色賞(グラハム・ムーア)、編集賞、美術賞、作曲賞(アレクサンドル・デスプラ)の8部門にノミネート、受賞は脚色賞のみであったが、なるほど、多くの部門にノミネートされるほどの映画である。

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