今週末見るべき映画「Mommy/マミー」

2015年 4月 24日 08:00 Category : Art

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グザヴィエ・ドランは1989年生まれ。監督作品はまだ4作。撮るごとに、若さゆえの野心に自信が加わり、熟練さが増す。最初に驚いたのが「わたしはロランス」(イズムで紹介)だった。男性という性を捨てた人間の、それでも人を愛することの切なさが、身に沁みた。次に見た「トム・アット・ザ・ファーム」(イズムで紹介)で度肝を抜かれた。緊張感、臨場感たっぷりに、人間の不安な心のうちを、鮮やかな心理描写で貫く。

あわてて、処女作の「マイ・マザー」、主演までした2作目の「胸騒ぎの恋人」を見た。どちらも二十歳そこそこの若者の撮った映画とは思えない。早熟とは言えず、すでに手だれである。もっとも、こういった紋切り型のレッテルを貼られることをグザヴィエ・ドランは嫌っているようだが、本当だから、仕方がない。

5作目となる最新作が「Mommy/マミー」(ピクチャーズデプト配給)である。2015年、地球のとある国カナダで、新しい法案が可決する。発達障がいの児童を持つ親が、児童の養育に関して、経済的、精神的に困難になった場合、養育を放棄、児童を施設に入れる権利がある、というもの。映画は、シングルマザーと多動性障がいを抱えた15歳の息子が、愛情と葛藤に揺れ動くさまを、丁寧に描いていく。そこに、いささか問題を抱えた隣人の女性教師が絡んでくる。


見せ方が老獪。過不足ないセリフのやりとり、カメラのアングル、真四角の映像のサイズ、音楽、衣装デザイン、色彩設計、スローモーションの多用、ただならぬサスペンス、垣間見せるユーモア、だから、映画そのものに、ぐいぐい、引きつけられる。ことさら、新しい映画手法ではないけれど、さまざまな技巧を、案配よく配置し、観客を引きつけて離さない。生まれつきの才能、センス、としか言いようがない。まことに、巧いなあ、と思う。


ちなみに試写では、本編の前に、10分ほどのドキュメンタリー映像「グザヴィエ・ドランのスタイル」が上映された。これはネットでも見ることができるので、ぜひご覧ください。

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