今週末見るべき映画「イタリアは呼んでいる」

2015年 4月 30日 08:00 Category : Art

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イギリスの中年男ふたりが、ワインを呑み、うまい料理を食べながら、イタリアのあちこちを取材する。ふたりは、しゃべり続ける。これが、映画ネタ満載、それぞれ、映画の有名なセリフを、声色で真似る。これが傑作、あまりの巧さに驚く。それもそのはず、ふたりの男とは、スティーヴ・クーガンとロブ・ブライドン。映画では、実名で登場する。「イタリアは呼んでいる」(クレストインターナショナル配給)は、映画に詳しい人なら大爆笑、ほどほどの映画好きでも爆笑を誘う。映画や音楽をネタに笑わせ、風光明媚なイタリアの景色、おいしそうな料理の数々と、大サービスの映画である。が、これは、大サービスを装いつつ、時間が経過するにつれて、まったく異なる素顔を見せてくる。


監督は、「いとしきエブリデイ」(イズムで紹介)を撮ったマイケル・ウィンターボトムである。多彩な題材を撮る監督だ。主人公のふたりはすでに中年。人気のコメディアンで、一見、華やかな生活にみえるが、それぞれが人生の岐路にさしかかっている。マイケル・ウィンターボトムは、バカ騒ぎ、ノー天気なグルメ旅と思わせて、懐に、人生の悲哀をさりげなく盛り込む。まさに虚実皮膜、鮮やかだ。それは、繰り返し挿入されるリヒャルト・シュトラウスの「4つの最後の歌」の第4曲、ヨーゼフ・フォン・アイヒェンドルフの詩「夕映えの中で」が象徴している。こんな訳詞である。「おお はるかな 静かな平和よ! こんなにも深く夕映えに包まれて 私たちはさすらいに疲れた これが死というものだろうか?」。


スティーヴ・クーガンは、イギリスのラジオ、テレビ畑から映画の世界に。最近ではスティーヴン・フリアーズ監督の「あなたを抱きしめる日まで」(イズムで紹介)の脚本を書き、ジュディ・デンチと互角の演技を披露している。ロブ・ブライドンもまた、ラジオ、テレビから映画に進出。いろんな声色をこなす才人。ふたりとも、日本でいうところのタレントなどとは、ひと味もふた味も違う。教養豊かで、芸の幅、深さがある。それは、映画を見れば、すぐ分かる。

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