希有な体験を生み出す光の空間|吉岡徳仁 ガラスの茶室-光庵

2015年 5月 14日 08:05 Category : Art

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ガラスの茶室が置かれている環境には、青龍殿奥殿、空、山の頂に生える樹々の頂だけがわずかに見える。ステンレスミラーのフレームは光を反射しガラスと同じように透明になり、自然と一体となる。花や掛け軸もないが、光庵では「光」がその役割を果たしている。天気がよい日にはガラスの茶室に目を凝らすと、太陽の光とプリズムによって天井から虹色が出現する自然の演出をみることができる。


日本の伝統や茶室そのものではなく、それが生まれる原点である日本人の文化の根源を問い直すこのガラスの茶室にみられる「透明性」とは、吉岡徳仁氏が長年追い続けてきたテーマ。それは、光や空気といった目には見えなくても、さまざまなものに影響を与える物質を越える力をもったものだ。


吉岡氏はこれまでも詩的な美しさをもった空間やインスタレーション、プロダクトのデザインで重力やイメージから解放するような透明性と向き合ってきた。

「光は体験そのもの」という吉岡氏の言葉が示す通り、「ガラスの茶室-光庵」には建築やプロダクトが宿命的にもつ物質性を越えた何かが潜んでいる。また、光がもつ揺らぎをともなった流動性、決して掴むことのできない刹那的なその存在を考えると、光庵が建築が本来拠り所とするべき基礎をもたず、ただそこに「置かれている」という軽やかさをもった状況も、水や結晶といった、自身がデザインするものがもつその透明性で、光そのものを捉え直し物質性から解放する吉岡氏のデザイン手法とつながっている。

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