今週末見るべき映画「WISH I WAS HERE 僕らのいる場所」

2015年 6月 11日 08:00 Category : Art

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妻がいるのに、さほど稼ぎのない友人がいる。いわば売れない俳優で、舞台の演出もするが、ほぼ生活費は、働いている妻が面倒をみているらしい。子供はいないので、なんとか俳優稼業を続けている。俗にいう髪結いの亭主。それで、ちゃんとやっていけるなら、何より。あやかりたいものだ。


映画「WISH I WAS HERE 僕らのいる場所」(ミッドシップ配給)の主人公、35歳のエイダンは、やはり売れない俳優で、生活費は、妻が稼いでいる。友人と異なる点は、子供がふたり、いること。子供の通うユダヤ系の私立学校の授業料は、父親が払い、本人は、いまだ、「スター・ウォーズ」オタクの弟と共に、子供の頃から憧れているヒーローになり、剣の力で世界を救う、などと空想している。エイダンの父親のがんが進行し、余命がいくばくもないことになる。父と弟は、このところ、ずっと疎遠で会ってもいない。エイダンにとって、なによりの痛手は、子供たちの授業料が払えなくなることである。初めて、エイダンは、家族、父、弟のことを真剣に考え始め、自分自身の人生と向き合うことになる。


笑って笑って、泣ける。そのような映画や演劇は、数多くあるが、本作は、その3倍は、笑って笑って、泣ける。しかも笑いと涙の振れ幅が広く、深い。いってみれば、父親の不治の病を契機に、大ピンチに陥る家族が、ひとつにまとまろうとする話である。普通、映画では、予定調和とでもいうのか、ある程度、ハッピーエンドが予想される。ところが、このザック・ブラフの監督、共同脚本、製作、主演になる映画は、見続けるうちに、ハッピーエンドにとって不利な材料が続出、やがて、何とかハッピーエンドになって欲しいなあ、と願うようになっていく。あるいは、応援したくなっている、と言い換えてもいいかもしれない。それだけ、よく練れた脚本であり、セリフなのだ。ラスト近くから、畳みかけるように連続する展開に、涙と笑いが交錯する。このあたりのさじ加減が絶妙なのだ。

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