今週末見るべき映画「ターナー、光に愛を求めて」

2015年 6月 19日 08:00 Category : Art

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監督は、「秘密と嘘」や「家族の庭」を撮ったマイク・リーである。監督は、ターナーの人生に、長い間、興味を持ち続け、映画化のアイデアが浮かんでから撮影まで、12年もかかったという。


ターナーを演じたのは、マイク・リー作品ではお馴染みのティモシー・スポール。「ハリー・ポッター」シリーズでは、ピーター・ペティグリュー役、「英国王のスピーチ」では、ウィンストン・チャーチルを演じた。渋い脇役からの主演で、これが、凄まじい力演を見せる。ターナーはいつも、苦虫を噛み潰したような無愛想な表情をしている。口数は少なく、人付き合いは不器用だが、自分の考えをはっきり述べる。ライバルと思う画家には、対抗心を燃やすほどの負けず嫌い。その絵を見れば分かるが、性根は繊細で優しい。ティモシー・スポールは、そんなターナーを、微妙な表情の変化と、数少ないセリフから、個性たっぷりのターナー像を見事に創りあげた。もちろん、マイク・リーのきめ細やかな演出に応えての演技と思われる。


ターナーは、自身の優れた画業もさることながら、後に、印象派と言われる多くの画家たちへ、多大な影響を及ぼした。その作品の数々が、ちらほらと出てくる。「吹雪 アンデスを越えるハンニバルとその軍隊」、「青白い馬に乗った死」、「戦艦テメレール号」、「奴隷船」、「吹雪 港の沖合の蒸気船」などなど。願わくば、絵が写るシーンを、もう少し長く編集してもらいたかった。

ともあれ、優れた画家の、伝説的なエピソードを網羅し、ターナーの絵画同様、繊細に優雅に、知られざる私生活に肉薄した人間ドラマである。


ゴッホ、ロートレック、モジリアニ、レンブラント、ゴヤ、ピカソなどに材をとった映画は、どれもなかなかの力作だが、本作もまた、人間ターナーの本質に迫る力作と思う。

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