Interview: 音楽プロデューサー・本間昭光氏|泰然自若のジーニアスが放つ才気煥発の極み

2015年 8月 5日 08:00 Category : Art

このエントリーをはてなブックマークに追加

-文化的な少年だったんですね。

超文化的だったかもしれません(笑)。うちから自転車に乗って2時間も走れば、法隆寺に行けるし、方向を変えれば、飛鳥の方にも行ける。近所の河原で石ころを拾って、周りの子たちが水弾き遊びするのを眺めていて、ふと足元に視線を落としたら、縄文土器の破片が転がっている。そんなことが日常の環境で育ちました。他にも、聖徳太子が生まれ育ったと言われる場所や法相宗の僧・弓削道鏡(ゆげのどうきょう)の出生地があったり。気の赴くまま、出かけて行って、自分なりに史実を体感していましたね。

当時、京都国立博物館で初めて日本国宝展が開かれたんです。とにかくもう夢中で、何度も通いました。「どうすれば文化庁に入れるんだろう?」―入ったところで、文化財の担当になるとは限らないのに、そんなことばっかり考えていて。とにかくピアノや音楽のことよりも、文化財のことで頭がいっぱいの子供でした。


-勝手なイメージかもしれませんが、音楽ひと筋で育ってこられたと思っていたので、予想外の生い立ちに驚くと共に、興味津々です。

子供って移り気だったりしますよね?この間までコレが良いって言ってたのに、すっかり忘れてアレとかソレに夢中になっている。かくいう僕もそうで、文化財にハマりながらも、『ブラックジャック』を読んでいたら、「医者もいいな」と思ったり、プラモデルとか細かい作業が好きなので、「歯医者になりたいな」と思ったり(笑)。頭がわりと理数系だったんですね、当時は。その一方、音楽を聴くことは純粋に好きだったし、かといって楽曲をコピーして、自分で演奏していたわけでもなく、とはいえ、この時期に聴いた音楽は耳の中に強く残っていて。理系と文系の希望が入り乱れていた状態です。そんな中、中学のブラスバンド部に入って、フルートを始めたんですね。

-え、ピアノじゃないんですか!?

持ち運びがラクだったから(笑)。あと、テニス部にも所属していました。その頃の僕は、何にでも興味があって、一旦何かをやり始めると、そんなに努力しなくても、それ相当のレベルまでできてしまう子供でした。イヤな奴に聞こえるかもしれませんが、実際、世の中をちょっとなめてかかっているところは大いにありましたね(苦笑)。

振り返ってみると、私立の幼稚園で出会った友達は本当によくできる子たちばかりで、そこで自分も、ある種のエリート感を味わってしまったんだと思います。先の通り、僕が育ったのは柄の良いエリアではなく、いざ公立の小・中学校に進んでみたら、正直、「なんじゃこりゃ?」という感じで。周りの子とさっぱり話が通じなくて、「え?こんなことも理解できないの?」と内心思うことも多々ありました。もしこれが悪い方向に出たら、ただの上から目線のクソガキだったでしょうけど(笑)、表には出さずに、じっと見ているようなところがありました。

Related article

  • Interview:ドシィレヴィン、世界のカオスをモダンデザインに
    Interview:ドシィレヴィン、世界のカオスをモダンデザインに
  • 汐留のアド・ミュージアムで昭和の広告展 -1970年代・80年代
    汐留のアド・ミュージアムで昭和の広告展 -1970年代・80年代
  • 世界で注目されるクリエイター集団、ライゾマティクスの展覧会「ライゾマティクス inspired by Perfume」開催
    世界で注目されるクリエイター集団、ライゾマティクスの展覧会「ライゾマティクス inspired by Perfume」開催
  • 今週末見るべき映画「KANO―カノ―」
    今週末見るべき映画「KANO―カノ―」
  • フィンランドを代表する、サンテリ・トゥオリ日本初個展
    フィンランドを代表する、サンテリ・トゥオリ日本初個展
  • カスタマイズする醍醐味。BMW Motorrad「R nineT」
    カスタマイズする醍醐味。BMW Motorrad「R nineT」

Prev & Next

Ranking

  • 1
    Interview:非凡なる若き建築家・佐野文彦氏が語る「文化のアップデート」
  • 2
    ロンドン最新ホテル(2)/LOVE 英国、LOVE ロンドン
  • 3
    プラスマイナスゼロの「デジタル10キータイマー」
  • 4
    本棚の奥から現れるハワイのとっておきの隠れ家「ザ モダン ホノルル」
  • 5
    フィアット500、チンクチェントが50年ぶりに復活
  • 6
    美しき「可変性」、ジャン=ミシェル オトニエル個展
  • 7
    これでイヤホンが絡まない!まったく新しいイヤホンケース「Turn」とは
  • 8
    フォトグラファー・佐藤博信、「日本人としての自分視点で美しさを感じてほしい」
  • 9
    深澤直人の新作照明「モディファイ」開発秘話
  • 10
    今週末見るべき映画「ロバート・アルトマン ハリウッドに最も嫌われ、そして愛された男」

Excite ism :

このエントリーをはてなブックマークに追加