Interview: 音楽プロデューサー・本間昭光氏|泰然自若のジーニアスが放つ才気煥発の極み

2015年 8月 5日 08:00 Category : Art

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#03.出会いの連鎖を経て、即断即決。プロの世界へ


-それからピアノの世界に邁進されたのですか?

いえいえ、紆余曲折はまだ続くんですよ(笑)。高校に入って、ブラスバンド部に入部しようと思ったら、「部長が顧問の先生を殴った。これによってブラスバンド部解散を命ずる」といういかめしい内容の張り紙が、部室の前に貼ってありました。面食らいましたが、階段を上がって左を見たら、軽音楽部の部室があったんです。ブラスバンド部がダメなら、軽音かなと思って、即、入部を希望しました。男のキーボード担当が少なかったこともあり、今度は無事入部。そこで今の所属事務所の社長と出会いました。当時、彼はギター担当で、部長。一緒にバンドをやっていましたね。

-すごいご縁ですね。

子供の頃からそうなんですが、うまいこと出会いが繋がっているんですね。出会った人とその先もずっと付き合っていくという。今振り返ってみたら、間違いない出会いだったなと思うことがたくさんあります。大学時代、バンド活動のかたわら、新地の飲み屋でアルバイトしていた時に出会ったママもその一人です。

近大総長や後藤次利さんが一人でふらっと現れたり、客筋は良い店でしたが、けっこうヒマな日も多くて、ピアノを弾き、お酒を作るかたわら、ママとよく話をしていました。「社会というものはこうやで、こういう時はこうするんやで」と、コンコンと叩きこまれましたね。18、19歳そこらの僕にとっては、彼女の言うことすべてが、とにかく新鮮で。

このママしかり、10代の頃に関西地方のお酒の席で出会った大人の方たちに多くを教わりました。人との付き合い方や機微、立ち回りひとつ、喋り方ひとつをとっても、今の自分に役立っていることはたくさんあります。

-松任谷正隆さんが主宰するマイカ音楽研究所に通われていたのは、この頃のことですか?

そうです。高校生の頃から、“バッキング”のできる人になりたいと思っていました。要するに、編曲できる人になって、サウンドを構築する側にいきたいなと。「もし、自分がレコーディングするなら、こういうメンバーで…」と考えたりしていました。当時は、妄想の世界でしたが(笑)。大学は経済学部でしたし、ピアノの腕は、バンド活動に没頭した高校時代で止まっているし、今さら音大に入れないし、さて、どうしようかと考えていた時に、キーボード・マガジンを見ていたら、松任谷正隆さんの研究所の存在を知りました。

「これからの自分の方向性が見えるかもしれない」と思って、通い始めました。毎週土曜は夜までバイトをして、大阪・梅田から夜行バスに乗り、翌朝早朝6時ごろに東京に着く。レッスンの始まる朝10時まで時間をつぶして、昼2時までのレッスンに通って、また夜のバスで大阪に戻る、の繰り返しでしたね。

-具体的にはどんなことを学ばれたのですか?

与えられた課題の中で、色々作って、経験を積んでいく感じでした。友達もたくさんできましたし、楽しかったですね。どちらかというと、僕にとって、学ぶというよりはチャンスを得る場所だったかもしれません。バブル真っ盛りの時代だったので、就職口もわりといいところから話をいただいていましたが、たまたま僕がアレンジを手伝ったある生徒の課題曲が、松任谷さんの耳に引っかかったみたいで、お呼びがかかったんです。

先の新地のママに「人生には、即答せなアカン時ってあるのよ。迷ったらアカン。そういう時は自分の直感を信じた方がエエから」と常々、教えられていたことも手伝って、松任谷さんに「君はプロになる気があるの?」と聞かれた時、「はい、あります!」、「じゃあ、東京出てくる気はあるの?」「あります!」と立て続けに即答して、ハーフトーンミュージックを紹介していただくことになりました。

-即断即決のすごい展開ですね。

もしこの時、彼女がいたら迷っていたかもしれません。ブラスバンド部で、同じフルートのパートだった女の子と中学3年生の時からずっと付き合っていました。僕にとって初めての彼女ですね(笑)。いつか結婚しようと話していたので、当初はサラリーマン道を進むことも考えていました。でも、これがタイミングというものなのか、ちょうど別れていた時だったんですね。一人だったら、サラリーマンやる意味はないなと思って。それよりも、冒険した方が絶対楽しいだろうと。

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