今週末見るべき映画「Dearダニー 君へのうた」

2015年 9月 4日 08:00 Category : Art

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冒頭、「真実に少しだけ基づいた映画」と字幕が出る。じっさいに、ジョン・レノンの書いた、ある手紙が、ドラマの重要な役割を果たす。「Dearダニー 君へのうた」(KADOKAWA配給)は、往年のロック・スター歌手役で、アル・パチーノが登場する。もう70歳半ば、さまざまな役柄を演じてきたが、ミュージシャン役は、これが初めてと思う。さまになり、絵になっている。巧い俳優は、どのような役柄でも、こなす。演劇、舞台の経験がモノを言う。


ジョン・レノンに関する実話がある。1971年、イギリスのフォーク歌手スティーヴ・ティルストンが、雑誌のインタビューを受け、「成功し、富を手にすると、自身の音楽活動がダメになるのではないか」と答える。ジョン・レノンが、この記事を読み、スティーヴ・ティルストンに宛てた手紙を、インタビューした記者に託す。ちょうど、ビートルズが解散した直後である。この手紙は、スティーヴ・ティルストンに届かない。ジョン・レノンが射殺されて25年後の2005年。アメリカのコレクターから、スティーヴ・ティルストンに問い合わせが来る。「ジョン・レノンの書いた、あなた宛ての手紙を、オークションに入札した。本物かどうか確認したい」と。この時、すでに60歳のスティーヴ・ティルストンは、初めて手紙の存在を知り、「ジョン・レノンの手紙には、電話番号まで書いてあった。時が経過するにつれて、あの時、電話をしていればなあ・・」と話す。映画は、この実話を基に、ふくらませる。ジョン・レノンの手紙の内容は、ほぼ似た形で、映画に登場する。これは、映画をご覧になってのお楽しみに。


「かつて、あの時、こうだったら」という仮定の上に成り立つドラマは、数多い。ドラマではなく、映画の基になる史実そのものが、仮定の上で成立している。スティーヴ・ティルストンは、「もし、あの時、ジョン・レノンからの手紙を読んでいたら」と、もうひとつのあり得たかも知れない人生に思いを馳せる。映画では、この思いが、老いたミュージシャンを、新しい人生に向かわせる。

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