今週末見るべき映画「ロバート・アルトマン ハリウッドに最も嫌われ、そして愛された男」

2015年 10月 2日 08:00 Category : Art

このエントリーをはてなブックマークに追加

ロバート・アルトマン。大好きな監督のひとり。1970年の「M★A★S★H マッシュ」以降、主な作品を見ているが、アルトマンは、サービス精神がありながら、頑固で偏屈、へそまがりな人物と思える。多くの作品に通底するのは、反骨精神あふれた視点。ことに群像劇では、皮肉たっぷり、一級の文明批評と言える。当然、サブタイトルのように、ハリウッドの製作者からは嫌われたが、著名な俳優は、アルトマン作品に出たがり、賛辞を惜しまない。ほぼ編年体で、アルトマン作品の紹介とその人生を綴ったドキュメンタリー映画が「ロバート・アルトマン ハリウッドに最も嫌われ、そして愛された男」(ビターズ・エンド配給)だ。


アルトマンは、眼光鋭いけれど、優しい眼差しを感じる。しかも、「我が道を行く」頑固さを合わせ持ち、いい顔だなあと思う。1970年、伝説の傑作「M★A★S★H マッシュ」を撮る。朝鮮戦争のさなか、アメリカの移動外科病院での狂気の日常が描かれる。「ここは病院じゃない、精神異常者の巣よ」とセリフにあるように、アルトマンは、「アメリカという病院」の病巣を、鋭く切り取った。20世紀フォックス映画の歴史に残る傑作と思う。そのほか、思いつくまま、列挙すると、「ロング・グッドバイ」、「ナッシュビル」、「ウェディング」、「フール・フォア・ラブ」、「ザ・プレイヤー」、「ショート・カッツ」、「プレタポルテ」、「ゴスフォード・パーク」などなど、いずれも、はずれのない傑作群である。


遺作になったが、2006年に撮った「今宵、フィッツジェラルド劇場で」も、好きな一本である。アルトマンの世間を見る目が、鋭さよりも優しさ、慈愛に満ちている。白いコートの女性が、「死」を象徴するかのように現れるが、歌手たちの誰に寄り添うのかの答えは出さない。むしろ、劇場で唄う歌手たちは、もう若くはないのに、「明日」という希望を感じている。

Related article

  • エンドレス・ポエトリー 【今週末見るべき映画】
    エンドレス・ポエトリー 【今週末見るべき映画】
  • 今週末見るべき映画「ある天文学者の恋文」
    今週末見るべき映画「ある天文学者の恋文」
  • 6日から「中国映画の全貌 2012」が開催
    6日から「中国映画の全貌 2012」が開催
  • 今週末見るべき映画「危険なプロット」
    今週末見るべき映画「危険なプロット」
  • 今週末見るべき映画「彼は秘密の女ともだち」
    今週末見るべき映画「彼は秘密の女ともだち」
  • マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ 【今週末見るべき映画】
    マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ 【今週末見るべき映画】

Prev & Next

Ranking

  • 1
    元祖・アートの島には新作品がぞくぞく:瀬戸内国際芸術祭
  • 2
    限定100台、ランボルギーニ「アヴェンタドール・50 アニヴェルサリオ」
  • 3
    太陽王にマカロン、歴史の詰まったサン・ジャン・ド・リュズ
  • 4
    愛車と呼びたくなる新色、リモワの「サルサ レーシンググリーン コレクション」
  • 5
    大岩オスカール氏の作品が焼失:瀬戸内国際芸術祭
  • 6
    メゾンエルメスでディディエ・フィウザ・フォスティノ展
  • 7
    高層ビルとアート。再生された街、シカゴの魅力
  • 8
    世界最高のアートフェア「Art Basel」をプレビュー
  • 9
    真っ暗闇で“見える”もの「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」
  • 10
    濱田庄司の生誕120年記念展

Excite ism :

このエントリーをはてなブックマークに追加